何ものにも縛られないための政治学 権力の脱構成

著者 :
  • KADOKAWA (2018年7月20日発売)
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感想 : 5
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アナキズム、恐るべし。意識を変えろ、内なる革命を成し遂げろ!アナキズムとは、教育・道徳、これまで生きてきた常識や価値観をすべてひっくりかえさないと獲得できないほどめんどくさい思想である。アナーキストになることは、社会主義者になるよりむずかしい、たぶん。「この支配からの、トンズラだ」より「万国の労働者、団結せよ!」の方がしっくりくる。

<ひとはありもしない未来のために、いまを犠牲にして生きている。時間の奴隷になるな><ひとはインフラなしじゃ生きていけない。権力はいまやこの世界のインフラのうちに存在する>なんて腹にストンと落ちるフレーズもある。でも、戦闘的退却主義だ!トンズラこそが最大の武器だ!っていわれたって、トンズラした先に、どんな未来がひらけるのか、いまひとつ想像できない。

クロポトキンの相互扶助・協同社会はなんとなくイメージやすいのだが…。レベッカ・ソルニットも「災害がエリートを脅かす理由は、権力が災害現場にいる市井の人々に移るからだ」と災害を革命になぞらえた見方をしていたし、秋水だって、渡米中にサンフランシスコで大地震を体験して、市民が助け合う姿をみて無政府共産主義に転向したというし。

結局、ジョン・レノンの「イマジン」を想いうかべてしまった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アナーキズム
感想投稿日 : 2018年9月5日
読了日 : 2018年8月28日
本棚登録日 : 2018年8月23日

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