落窪物語:かわいそうな姫君と勇敢な侍女の友情と冒険

著者 :
  • 偕成社 (2021年12月22日発売)
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感想 : 5
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10世紀末に書かれたとされ作者不詳の「落窪物語」を花形みつるが編訳した。絵も花形みつる。絵を描くの知らなかったので、びっくりした。

高貴な生まれなのに継母にいじめられて働かされている姫君が、左大将の息子で相当イケてる少将道頼と結婚して幸せになる物語。平安時代のシンデレラストーリー。
副題の「かわいそうな姫君と勇敢な侍女の友情と冒険者」でわかるように、侍女あこぎの活躍物語でもある。姫君の清楚で教養溢れるしかし従順なキャラクターは、姫を取り巻く人々が善人ならば最高なのだろう。しかし、継母は意地悪で実父は頼りないので、良い人過ぎる姫君の行動に読み手は歯がゆい思い。だから、姫君のブレーンであるあこぎの活躍に拍手を送り、溜飲が下がる。語り手もあこぎなので、読み手はあこぎと一緒に怒ったり喜んだりできるのも面白く読めた要因だと思う。

ページ下に書かれている「あこぎのワンポイントレッスン」も、物語の時代や社会背景を知るのにとても役立つ。訳された古典文学や外国文学を読むには背景の知識がある事でより味わえる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童
感想投稿日 : 2022年5月4日
読了日 : 2022年5月4日
本棚登録日 : 2022年5月4日

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