ソフトバンク崩壊の恐怖と農中・ゆうちょに迫る金融危機 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社 (2020年3月21日発売)
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私が今の会社に転職したのが2006年ですが、それから数年後にリーマンショックが起きまして、そのお陰で大変良い勉強をしたのを覚えています。サブプライムローンが拡大して取り返しがつかなくなったという結末だったと理解していますが、この本によればその教訓を活かせていないという以上に、より巧妙に金融商品が作られて、リーマン以上のスケールで売りさばかれているようです。

弾けないバブルは無いというのが歴史が証明するところですが、いま正にバブルの真っ最中とのことです。さらに今は全世界コロナショックです、これに乗じてとてつもない大恐慌が起きるのではないかとこの本では警鐘を鳴らしています。

コロナショックにより今年の各業種の売上は減ることは必至であり何が起きても全てコロナのせいで多くの人が諦めることになるのかもしれませんが、早ければ今年にも起きるとこの本では言っていますが、それまでに何か対策すべきことは無いのか、自分なりに考えてみようと思いました。お金や見える資産で残すよりも、今あるお金を使って、コロナ後にも使える資産(経験、知識等)をどうもつかが考えところかもしれませんね。

以下は気になったポイントです。

・ソフトバンクは現在、有利子負債が18兆円を超えている、ソフトバンクにもしものことがあればメインバンクとなっている、みずほ銀行も壊滅的な打撃を受けるだろう(p8)

・逆イールド(アメリカの長期10年債の利回りが2年利回りを下回った)の背景にあるのは、世界的なカネ余りである(p9)

・ソフトバンクの負債は2014年のスプリント、17年のアーム買収によって急増している。18年にはビジョン・ファンド(10兆円非公開市場)を運用開始している。サウジ・ムハンマド皇太子は4.8兆円出資しているが、この部分は7%もの利回りを保証されている(p26、28)

・みずほ銀行のソフトバンクへの野放図な融資に疑問をもった社外取締役は2019年に突如退任した(p39)

・ウーバーがやったことは、世界中のドライバーの生活を困窮させ、タクシー業界を危機に陥れただけ(p52)

・孫氏は蓄電池市場の拡大を予想して、その根幹となるリチウムを押さえようとして18年4月にネマスカリチウム(カナダ)に82億円出資したが、2019年夏に中国での電気自動車生産が急減して、リチウム価格が急落した(p57)

・カリスマ投資家、ピーター・ティール氏は、人工知能も自動運転も新聞紙面を飾っているような夢の技術は、株価を吊り上げるための実態の無い「流行語」に過ぎないと言っている(p59)

・いま金融の世界で最もリスクの高い金融商品はCLO=信用力の無い企業に対して貸し出している債権を証券化したもの、いま起きているのは、コベナンツ・ライト・ローンの増加、貸し付け時の条件が緩く借り手が追加で債務を増やすことのみを制限しているものでこれが急増している(p78、80)

・農林中金のCLO保有額は7.9兆円で世界でも圧倒的トップ、これは銀行法適用外で、ゴールドマンサックス等によって作られた商品である(p87)

・農林中金は純資産が7.7兆円、有価証券は55.4兆円、CLOに代表されるその他証券は43.1兆円、価値が半額になると大変なことになる(p89)

・現在のドイツ銀行は保有する5500兆円にも及ぶデリバティブがある、ドイツ国家のGDPの12倍(p112)

・地球では少なくとも過去5回、最大で生物の96%の種が短期間に絶滅する大きな生態系の変化があったとされている、このままいくと人類の活動が6回目の大量絶滅の引き金を引くだろうと強い危惧を感じる(p176)

・この資本主義の大きな問題点は、利子と通貨の発行の仕組みにある。それを変えるのが行きすぎたグローバリズムを是正すること(p177)

2020年4月18日作成  

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感想投稿日 : 2020年4月18日
読了日 : 2020年4月18日
本棚登録日 : 2020年4月18日

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