浮かれバブル景気から衰退させられる日本

著者 :
  • 徳間書店 (2013年3月28日発売)
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感想 : 10
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副島氏は思い切りよく経済の将来動向を予言してくれるので、彼の本は以前からよく読ませてもらっています。一貫して主張されているゴールド価格の上昇についてはその通りになっていますね。現在アベノミクス効果で調子の良さそうな日本株は、参議院選挙後には今の勢いをなくす、というのはなんとなく理解できる内容でした。

この本で特に印象に残ったのは、シェールガス(オイル)の将来性に疑問を投げかけている点です。アメリカ経済はシェールガスによって蘇るという本が出ていて、私の希望もあり信じたいのですが、彼は「失敗する」と言い切っています。本社から日本へくる彼らにそれとなく聞いてみても、みな微妙は答え方をするのは、そうなのでしょうか、今後の動きには注意したいと思いました。

今年初めの神田氏のブログで、2013年は前半の過ごし方(参議院終了まで?)と、後半の過ごし方は異なったものになる、と言っていた内容が、この本の内容を読むことによって少しイメージできた感じがしました。

また、ずっと不思議に思っていたのですが、今年の2月後半から急に円安になった理由もわかり(p65)私にとっては興味深い本でした。

以下は気になったポイントです。

・阿倍首相が「おみやげ外交」で差し出した50兆円で、アメリカの国家財政危機はとりあえず半年先に延びた(p15)

・今、日本国内で議論されているのは、すでに初めの50兆円ではなくて、次の50兆円の話である、最後の虎の子である郵便貯金(合計200兆円、すでに40+50兆円は転換済)のお金である(p28、54)

・阿倍首相はオバマ大統領との会談(2013.2.22)で、1)為替市場、2)日本の株式市場、3)日本国債、4)不動産市場、についてアメリカが売りを仕掛けないようにと、50兆円との引き換えにお願いした(p38)

・サハリン天然ガスを、パイプラインで回してウラジオストクで液化してそれを新潟まで運んで日本で溶かすという方法で合意した、しかし直接パイプラインで結べば安上がり(p48)

・日本政府は密かに600兆円程度の米国債を買いこんでいるが、表に出ているのは1.3兆ドル(130兆円)程度(p56)

・円の為替が1ドル80→96円になったのは、米国債購入のために円資金を売っているから(p65)

・全国の県庁所在地にあった明治時代からある農林中金の建物は次々と売られている、55兆円のうち25兆円がリーマンショック関連で飛んだから(p71)

・TPPの一つに、「進出したアメリカ企業が当初の予定通り収益を上げられなかったら、競争相手の韓国企業をNYで訴える(審理は非公開)ことができる」というものあり(p80)

・日本は2013年にも経常収支赤字国に転落しそう、2010:17.9→2012:4.7兆円になっているので(p106)

・消費税は赤字法人でも払わなければならない、実質は「売上税」である、住民税と同じように外税、中小企業は負担が重くなって倒産が増えるだろう(p159)

・シェールガスは地下3キロも掘らないと採取できない、人間が生きるために必要な水を汚染するような技術は長続きしないだろう(p203)

・金は一時期、1500ドル(4800円)程度になるかもしれないが、そこが買い場である、いずれ1万円を超えることになる(p214)

・今でも政府間では、各国の中央銀行が米ドルで35ドルのお札を出したら、FRBは必ず1オンスの金地金に換えなければならない、実際には50分の1になっているが(p227)

・ワンルームマンション投資は絶対にすべきでない、利回りが予定通りいかない(p235)

・金購入時の取得価格が不明であれば、概算取得費として、売却価格の5%を取得費とみなされる(p237)

2013年4月6日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年4月6日
読了日 : 2013年4月5日
本棚登録日 : 2013年4月5日

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