図書館で借りた。田中さんの作品は言葉に力がある。今までの作品で一番読みやすかった。足を負傷しながらも戦時を生きながらえた父。彼は昭和天皇崩御の際、自死を選択する。息子であるA氏はその原因を幼いころ発した「お父ちゃんは乃木大将とおんなじだね、すごいねぇ」という言葉にあると信じ、ついには彼も自死する。タイトルなっている夜蜘蛛を幼いA氏が殺すか否か迷っていた場面と、生きるか死ぬかのギリギリの緊張感の中で父親が死んだふりをして中国兵をやしすごした場面は生死の選択が他者に委ねられている点において、つながりを感じると同時にとても印象に残った。再読時はこのつながりをもっと読みほぐしたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年1月15日
- 読了日 : 2013年1月14日
- 本棚登録日 : 2012年11月5日
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