自殺サークルの謎とか、いくつもの謎の部分をまったく回収せずに終わるので物語重視の人にはつまらないかもしれません。そういう部分やグロい部分を削ぎ落とすと、エッセンスは宮台センセの『終わりなき日常を生きろ』です。「『永久に輝きを失った世界』の中で」「そこそこ腐らずに『まったりと』生きていく」知恵を説く。
「あなたはあなたの関係者ですか?」という台詞が印象的です。自己肯定感の希薄さというより、自分がこの世界にいるという苦しさっていうのはこういう存在論的な部分からくるのかなぁ。
この映画が提示するのは、そこはもちろん大事だけど、私が私であるということは、不自由な悩みの中にいるそれぞれにとってそれぞれが妥当な自己像を模索し、せいぜい生きるだけの知恵程度にすぎないことだよ、とまとめている気がする。
「がんばれ」とかうざいんだよ。不安や空虚は癒せるわけないだろ。人は分かり合えないし日常はつまらない。そこまで面白くもならない。
そこまでして生きることに意味はあるのかって言ったら意味はない。でもそんなこといちいち言わなくてもいいよね、ごまかしながらやってくしかないよね、っていう。
この話には続編があるみたいなので観てみよう。78点。
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- 感想投稿日 : 2013年2月7日
- 読了日 : 2013年2月7日
- 本棚登録日 : 2013年2月7日
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