死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2016年12月15日発売)
4.18
  • (9)
  • (8)
  • (5)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 133
感想 : 9
5

連続射殺間・永山則夫の裁判から、死刑の基準とは何かを探るノンフィクション。永山裁判の記録を読み込み、死刑とした地裁判決、それを覆して無期懲役とした高裁判決、さらにそれを差し戻した最高裁判決、それぞれで永山は何を訴え、裁判官は何を考え、そして世論はどう動いたか、綿密に検証した。特に、最初は社会を弾劾していた永山が、伴侶のミミさんを得て被害者の慰藉のために生きたいと願う姿は感動的だ。それを受けて、究極の刑罰である死刑には、裁判官の誰もが一致する基準が必要との考えから無期懲役とした画期的な高裁の船田判決が生まれた。しかし、世の懲罰感情は根強く、最終的に死刑となる。その判決文にあった基準が「永山基準」として独り歩きを始めた。その経緯は、私たちに、死刑は本当に必要かを問いかける。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月22日
読了日 : 2022年8月22日
本棚登録日 : 2022年8月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする