子産(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2003年10月15日発売)
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<上下巻を通してのレビュー>

信義なき世をいかに生きるか――春秋時代、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。
二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。


読んでいるうちに、子産の考えや行動がじんわりと心に浸みてくる一冊です。
当時最高の知識人であった子産は、礼を重んじ不毛な権力争いには加わらず、一歩ひくことで最善の結果を出したような人物に思えます。
子産を信頼し続けた鄭の簡公や、子産を宰相に推薦して信じ続けた子皮などの様々な人々の援護や理解があってこそ、子産の改革が成功したのでしょうね。
紀元前536年、中国史上初めて成文法を制定したのはまさしく子産です。成文法の制定については様々な批判等もあり、礼と徳の人である子産が成文法を制定したことに違和感を覚えますが、流れ行く時代の中で国を治めてゆくにはどこかの時点で成文法は必要だったはずであり、施政者も移り変わってゆくことが明白である以上、子産の考えはここに落ちついたのだと感じます。

孔子サマに大絶賛された子産ですが、この本だけでは全貌を把握することは難しい・・・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中国史
感想投稿日 : 2019年3月29日
読了日 : 2019年3月29日
本棚登録日 : 2019年3月29日

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