南北問題や異なる価値観との接触というテーマが多く、やや説教臭い気もしたが大事な内容であるということはわかる。
「七度の誕生日」はSF的に大胆で楽しかった。
「神々」三部作の「テクノロジーが高度に発達するとメンテナンスできる人は少数になり融通がききにくくなる」というのは、怖いけど仕方ないんだよなあ。分業ということを始めた時点でそのリスクは常にあるのだから、それを否定してしまったら何もできなくなる。
「ビザンチン・エンパシー」は技術の進歩により政治的にかえって混乱が引き起こされるのは、怖くもありつつも、そうやっていろんな問題を乗り越えながら少しずつ進んでいくしかないんだなあとむしろ希望を感じられる気もした。
政府高官の方のキャラみたいな価値観がイラっとするのって、大多数の利益のために少数の人たちを切り捨てることを「現実的にはそうするしかないんだから仕方ない」みたいな自己正当化をしているところなんだよな。誰か一人でも犠牲になっている時点でそれは最適解ではないんだから、最適解にたどり着けなくてすみませんという申し訳なさそうな態度を取ってほしい。
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- 感想投稿日 : 2021年3月28日
- 読了日 : 2021年3月28日
- 本棚登録日 : 2021年3月28日
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