大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

著者 :
  • KADOKAWA/中経出版 (2015年4月12日発売)
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P64の厚生経済学の基本定理が分かりやすく、なるほどと思った。
経済は総量よりも変化量が大切だと感じた。コストに対してベネフィットの方が大きいかは、拡大の度合いによって変わってくる(限界メリット)。そこで均衡が安定する。
お金を借りてまで事業をやる意味もわかった。借りた場合の限界生産価値が利子を上回ると見込んで借りているのだ。見込んでいるからこそ事業を回すのだ。
お金を借りることをずっと毛嫌いしていたが、限界生産価値の話は視野を少しだけ広げてくれた。
P72で医師や弁護士などの専門職について言及。準レントの概念。
運・不運の結果としての所得の変動は社会的公正の観点から望ましくない。よって所得再分配政策を行う。福祉の力。
様々な市場があることを知った。労働・貨幣・財・土地etc.
何でもそうだが、スケールや立場を混同するから批判や行き違いが起きるのだと感じた。

公共財vs私的財、フローvsストック、不運vs自己責任、現在vs未来、ルールvs裁量、目的vs手段、マクロvsミクロ…
挙げたらキリがないが、対立構造は良くない。構造を知らない故に柔軟に考えられないならば、無知は罪だ。だが、相手が知っている前提であれこれ言うのもやはり、罪だ。
個々人が経済学について学ぶ必要があるのは、割を食わないためだ。
そして、社会に出るうえで、一つの武器では心許ない。餅は餅屋と言うが、美味しい餅屋がどこかを知るのは有益だ。そういった意味でも、本書の対象者は限定されないだろう。みんな一度は読んでみてほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年3月26日
読了日 : 2020年3月26日
本棚登録日 : 2020年3月26日

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