井上と戸田が逮捕されてからの話。犯行の動機を探っていきます。とはいえ、大まかな心の動きは、上巻にてすでに語られています。それを何度もなぞる形になり、それはそれで面白いのですが、やや退屈な部分もあります。
健康ランドに向かうとき、井上の姿が見えなくなり、心を乱される戸田のエピソードが、少年時代のものとリンクしていたところは、意表を突かれました。
カポーティの「冷血」のオマージュ作品ですが、読後感も似ています。すっきりしないというか、なんというか。カポーティの方はノンフィクションですから、しょうがないとして、こちらはフィクションですから、これという決着をしてもらいたかったです。
もちろん人間なんて割り切れないものなんだということを表現したかったのでしょうけれど、もう少し何とかならなかったのかなぁと思いました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本ミステリー
- 感想投稿日 : 2023年8月3日
- 読了日 : 2023年8月3日
- 本棚登録日 : 2023年8月3日
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