ゴリラの森、言葉の海 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2021年10月28日発売)
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ゴリラの専門家(霊長類学者)の山極寿一さんと、小説家の小川洋子が、ひたすら対談する。対談集なので、徹底的に突き詰めるというより、ふわっと終わった感がある。学者は、霊長類のゴリラの特性から、人間との共通点、違う点、なぜ違いが出たかについて語る。小説家は、なぜ人間界にだけが戦争や暴力や強姦が起きるのかを考えている。山極さんは『言語』、それによるメタファー、そして死の記憶等の、他の動物にはない人間特有の特性だとする。それは人間が文明を築き上げた源でもあり、それがまた、戦争、暴力をも引き起こす源でもあるのか。個人的には、ゴリラの子殺しの話が興味深い。自分の子どもを殺した男ともつながれる。それは死の記憶がないから?ゴリラと人間の大きな違いは、罪の意識の有無かもと思ったが、それも言語による幻想なのか?資本主義が効率化を善とする風潮を生んだが、子育ては効率化できないもの。ゴリラを見習って共同で育てるべきと言うが、言うは易しだわなあ・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 親子
感想投稿日 : 2023年8月19日
読了日 : 2023年8月19日
本棚登録日 : 2023年8月19日

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