青い天使(5) (講談社青い鳥文庫)

  • 講談社 (1998年11月15日発売)
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感想 : 7

ほらまた自分のことしか見えてない。
自分の中の子どもと、自分の中の旦那さん。
実際の子どもや旦那さんがそこからずれてしまうと、途端にどうしたらいいかわからなくなる。
そして自分自身も。
理想の自分であらねば存在することすら許されないような。
何も見えていない。
そこに子供はいるのに。ずっと離れていて、やっと一緒に暮らせるようになった子供が。
そこに旦那さんはいるのに。やっと見つけた、一緒に笑い合える相手が。
何も見えなくなって、いつの間にか孤独になってしまっている。
孤独なのはむしろ子供の方なのに。
外見はフランス人なのに、フランス人ではない。
日本でも「外から来た人」扱いされ、やっと個人として認められたところをフランスへ。
また「外から来た人」の状態から始めなきゃいけなくなった子供のことを、見てるつもりで全然見えてない母親。
子供の抱えている孤独がますます深くなる。
それをみて、母親の孤独も深くなる。
なんという悪循環。
その悪循環をやっと子供が断ち切ってくれたのに、まだまだ自分のこだわりから、子供の生き方を制限しようとし、子供に入ってくる情報を制限しようとし。
もうただの子供とは言えない年齢なことも、多分忘れてしまっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年5月6日
読了日 : 2020年5月6日
本棚登録日 : 2020年5月6日

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