いまも生きる「武士道」 武家の女性の精神を貫いた祖母の教え (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社 (2008年6月20日発売)
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石川真理子
作家・武士道研究家・書籍クリエイター/日ノ本塾主宰。昭和41年(1966) 東京都出身。祖父方が仙台藩士、祖母方が米沢藩士という武家の家系に生まれ、明治生まれの祖母から武家に伝わる薫陶を受ける。文化女子大(現・文化学園大学)卒業後、大手出版社の編集プロダクション勤務。独立後は広告・雑誌・書籍における文筆活動の他、出版プロデュースを手がける。一方で、武士道や武家の生活文化を独自に探究、執筆やセミナーを通じて日本精神や伝統について啓蒙活動を行っている。令和2年より筆名「一ノ世 真理子」を併用。

特に立つときの姿勢は、すべての基本となります。弓道をはじめた知人が、最初の稽古では正しい姿勢を身につける練習ばかりを一時間以上も指導されたと話していました。弓道に限らず、バレエやジャズダンスでも同じことでしょう。

「本や先生だけが物事を教えてくれるわけじゃない。お庭をごらん、土や草花、木を見てごらん。この世にあるものは何だって大事なことを教えてくれるもの。悲しいできごとだって何かを教えようとしているのですよ。そうしたものからちゃんと学べるようになってこそ、 人は本物の知識を得る、それがその人の本物の財産なのですよ」

祖母の言葉にしたがって歴史を学んでみると「温故知新」という言葉が確かだということも知りました。歴史は繰り返すといいますが、歴史を知ることによって先を予見することが できるようになるようです。また、日本の歴史を学ぶことによって日本人としてのアイデン ティティーを持つようになりました。

この話は祖母の「目に見えないものを読みとりなさい」という言葉を思い出させました。 「あらゆる物事には大事なことが隠されているものだよ。おまえはその目には見えないものをちゃんと読みとれる人になりなさい」 ごく簡単な例を挙げると「お米を食べるときは、これを作ったお百姓さんを思い、感謝しながらいただきなさい」というようなことです。かつては誰もが親からいわれたことではないでしょうか。 絵画でも、書でも、それを観ることによって作者が表現している思いや世界観やメッセージを読みとります。小説であれば文章によって繰り広げられる物語の向こう側にある主題を読むのです。

武士道が書物となったのは明治時代のことです。 新渡戸稲造の名著『武士道』は、明治三三年にアメリカで出版されるや大反響を巻き起こ しました。その後、世界各国で翻訳され、八年後には日本でも出版されました。 『武士道』には武士の道徳観がまとめられています。孔子の教えである「五常の徳」に忠・ 孝・慨を合わせた「八つの徳」を人の倫理としています。 「五常の徳」とは「仁=思いやり」「義=正義」「礼=礼儀」「智=歓響」「信=信頼」のこと えいち をいいます。そこに「忠=いつわりのない心」「孝=親兄弟を大事にする」「悌=年長者に敬意を払う」が加わりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年8月9日
読了日 : 2023年8月9日
本棚登録日 : 2023年8月9日

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