定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2005年4月24日発売)
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 日本の鉄道は、世界で最も時刻が正確であると言われている。鉄道関係者に取材をしてかかれたドキュメンタリー。

 日本に鉄道が来る以前、江戸時代においても、寺社の役割として時を告げる鐘をならしていた。日本人には、一般の人々にも、時刻に対する感覚が養われていたのではないかと筆者は推測する。

 また、鉄道開業後の日本の地理的要因、街道沿いには比較的短い間隔で宿場町があったこと、そのため鉄道の駅間が短くなり、各駅間をおおよそ決められた時間で走らねばならない状況にあったのではないかと考えられる。

 現在、網の目のように張り巡らされた大都会での鉄道網は、一度どこかで列車が止まると、それが、他の路線に大きな影響を与え、たちまちダイヤに乱れが起こってしまう。
 日本の鉄道マンの、列車を遅らせないための技術は、運転士の秒単位での運転技術に、万が一にもトラブルを起こさないようにするための保線や、メンテナンスなど、様々な役割の人たちが、そのなかで最善の仕事を果たしている。

 非常に細かく調べられている。平成13年に単行本として書かれたものだが、その後、運行上のコンピュータサービスの進化、ICカードサービス、インターネットを使った顧客サービスなど、かなりのサービス向上がなされている。
 その反面、残念な事故も起こっている。鉄道の利便性をあげることも大切ですが、利用者は当たり前のように定時運転がなされている裏で、多くの鉄道に関わる人々がしている仕事について考えてみてもよいのではないかと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 鉄道
感想投稿日 : 2015年6月21日
読了日 : 2015年6月21日
本棚登録日 : 2015年6月21日

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