マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法

著者 :
  • ダイヤモンド社 (2015年2月19日発売)
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本棚登録 : 693
感想 : 66
5

2016.1.5-2016.1.7
-マーケット感覚とは何かを説明し、
-なぜそれが大事なのか理解させ、
-マーケット感覚を身につけるための具体的な方法論を示すこと
を目的に書かれた本。
「マーケット感覚」は、ANAの競争相手は誰かといふ例題を使ひながら、先づ「顧客が、市場で価値を取引する場面を、直感的に思い浮かべられる能力」と定義される。
著者の達意明快な文章は大したもので、その豊富な読書量が窺へる。その主張も、現在の日本に一番欠けてゐるものを的確に示してをり、説得的である。著者の本質を突く論理展開にはかねがね感心してゐたが、この本を読んで、「価値」といふ基本的な視点に戻つて議論する姿勢が基礎にあるからだと分つた。
やや気になることがあるとすれば、論旨が楽観的なことだが、これは著者の意図したものだらう。マーケット感覚の限界やリスクを書いた暗い本は売れないし、さうした面が気になる人にはそもそもマーケット感覚の重要性が理解できない、といふ考へではなからうか。
市場が理想的に機能するには幾つかの条件が満たされる必要がある、必ずしも金銭のやり取りを伴はない場合も含めてマーケットといふ言葉を使ふのが適当か、といつた問題も、著者は承知の上で書いてゐるだらう。
ともかく、大変革期にあつて、「正解」を教へようとし学ばうとする人達が多すぎる日本には、有用な本だと確信する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年1月7日
読了日 : 2016年1月7日
本棚登録日 : 2016年1月7日

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