虚偽有印公文書作成・行使の冤罪に巻き込まれた村木さんの本。そのときのことが書いてあるのを期待して読んでみたら、それだけではなくキャリアウーマンとしての村木さんが歩いてきた道がけっこうしっかり順を追って書いてあり、そこがとてもよかった。思っていたのとは違う、それ以上の本だった。
なぜいい本だと思うのかといえば、村木さんが仕事と家庭に誠実に向き合い、試行錯誤しながら前向きに両立してきた人だからだ。自分にとっては事件を機に知った名前だが、それ以前から人々がより働きやすく生きやすくなるようにと仕事に向き合い、内外の仲間との自主的な勉強会などにも加わり、家族とも助け合いながら、自然体で無理なく生きてきたことが書かれている。
村木さんはとりたててすごいところのない自分だからこそ、厚労省での仕事などでも後輩たちにとって、普通の人でもやれるんだと思えるロールモデルを担うつもりでいたという。そういう面がこの本のなかにもけっこう感じられ、自分にとっても仕事をしたり社会人として生きていくうえで金言と感じられる箇所がいくつかあった。
そんなこんなでいい本だったんだけど、ちょっと教訓めいた書きぶりが散見されて……。たぶんこれって、編集者が「日経ウーマン」っぽく手を入れたんだろうな。あと、今までのところ文庫本が出ていないのなぜだろう、いい本なのに。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年1月20日
- 読了日 : 2019年1月19日
- 本棚登録日 : 2019年1月19日
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