海を抱いて月に眠る

著者 :
  • 文藝春秋 (2018年3月26日発売)
3.61
  • (8)
  • (23)
  • (14)
  • (4)
  • (2)
本棚登録 : 181
感想 : 23
5

著者の父親の経歴をもとにした小説。梨愛の父親が死んだ。90歳だったので世間的には大往生だ。秋夕(추석)の餅菓子(송편)を喉に詰まらせて亡くなったという。いつも早く食べて喉に詰まらせる癖があった父だ。韓国のしきたりにはうるさい父だったが、外に対しては日本人としてふるまってきた。そして文山徳允の通称名で生きてきた。父の葬儀に見知らぬ美しい女性が来て泣いていた。いったい誰だろう?父との関係は?また葬儀の終わりごろに80歳は過ぎているような老人が柩に取りついて泣いていた。アイゴー(아이고)、アイゴー。韓国語で、日本人にされちまって!と喚き散らしていた。一体あの女性は誰なのか?この老人は誰なのか?知っていた父とは違う父がいたのだろうか?梨愛は、まず弔問に来ていた女性に連絡を取ってみた…。そして自分たちの知らない父の半生が見えてくる。祖国と日本との間で翻弄され、過酷な半生を生きてきた在日一世の人生。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2020年6月30日
読了日 : 2020年6月30日
本棚登録日 : 2020年6月30日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする