若い読者に贈る美しい生物学講義 感動する生命のはなし

著者 :
  • ダイヤモンド社 (2019年11月28日発売)
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生命とは、進化とは、遺伝とは、死とは、多様性とは、生き延びるために必要な生存戦略とは――。本書は、読者に向けて、生命とは何かを平易な言葉で伝える、いままででいちばんわかりやすく、いちばん感動的な生物学の本となる。


…とのこと
科学の知識欲を満たしてくれそう!
ん?よく見たら「若い読者に送る」とある…
躊躇いながら中をめくると「自分が若いと勝手に思っている読者」なら100歳以上の人にも読んでほしい…
とある
よしよし、安心して読める(笑)
学校以外で生物学なんて学んだことがない
どんな内容なのかとワクワク

気になったことのまとめ

◎生物の定義(3つの条件)

①外界と膜で仕切られている
・この膜とは主に「細胞膜」のこと すべての生物は細胞でできており、その細胞は細胞膜で包まれている
・以下②代謝を行ったり③複製をつくるには、化学反応が必要 そのため、膜で仕切られた内部なら、化学反応の濃度を高めることができ理想的な環境となる
・「細胞膜」には細胞内の環境を一定にたもつためにドアがある
・「細胞膜」は何十億年も進化していない、またあらゆる環境のあらゆる生物の細胞膜は同じ「リン脂質二重層」

②代謝(物質やエネルギーの流れ)を行う
・エネルギーの流れは、運動してお腹が空いたからご飯を食べて、エネルギーを補充し、熱エネルギーとして散逸
・物質の流れは、食事や排泄、また細胞の生まれ変わりにより、死んだ細胞が剥がれ体外へ排出される

③自分の複製を作る
・大人になる数より多くの複製を作ることで生き続ける
・自然選択が働きながら存在し続ける
自然選択によりさまざまな環境に対応できるようになり、複雑化、多様化し地球に満ちた


◎生物は大きく3つのグループに分けられる

①真核生物
② 細菌(真正細菌・原核生物)
③アーキア(古細菌・原核生物)

※動物や植物は真核生物

〜ここでは分類や系統の違いや、分け方の定義やそれぞれの特徴が説明されている
面白いのは系統からマグロを見た場合、サメよりもヒトのほうが近縁となる(見た目ではない)
また動物や植物以外の目に見えない生物の種類の多さには驚いた
例えば腸内細菌はおよそ1000種類もあり個体数は1000兆個!
さらに目に見えないため、人間が見つけられている種類がなかなか増えないとのこと
そう大きいからって地球上で偉いわけじゃないんだ!みんな共存しているから存在できるんだ!


◎植物

・動物の体の材料も、動物が動くためのエネルギーも、元は植物からもらったもの
・植物は自分で有機物を作ることができる
(光合成)、動物は自分で有機物を作ることができないため、他の生物を食べて有機物を手に入れる
地球で生物が繁栄していられるのは、光合成のおかげ

〜ありがとう植物さん達!
植物の電気信号、樹齢の測定法が炭素によりわかること、樹木は実は大部分が死んでいる…などかなり興味深い
植物は凄い!と改めて実感
…人間いばりすぎだよなぁ
植物がいなかったら存在できないのにさ


◎動物の前と後ろ

・動物の前と後ろは何でわかるか
  動くほうが前
  口がある方が前
食べ物を食べに動く(後口動物)

動物の卵が成体になる過程に答えが
細胞分裂をくりかえす過程で丸かった受精卵が胚となり一箇所が凹んで反対側まで空間が達して出来た筒状の穴が消化管

〜なるほど
最初に生きて行く上で大事なところが形成されるんだ
この消化管の一部が膨らんで復路になっていく これが実質臓器
肺も同じように作られる 消化に関係していないが消化管につながった袋のため、食べ物を間違えて(肺につながる)気管につまらせる事故が起こるということ
物事はきちんと、理由があるのだ
人の身体の仕組みは深くて面白い!

他にも、
人類以外に直立歩行する生物はいない
減少する生物の多様性
遺伝の仕組み
がんは進化する

と、面白いテーマが盛り沢山あった

途中で挫折したらどうしよう…(文系人間には理系の本でのあるある)
と読み始めたのだが、そんな心配を忘れて、結構集中して読めた
わかりやすい例えも多く、丁寧に解説してくださっており、ほぼ理解できた♪
それぞれの理由付け解説がなかなか読ませて下さる!
納得させてあげますから説明させてね…という感じで。

知的好奇心が満足させられる1冊
帯にある
「ふるえるくらい美しい生命のしくみ」
は大袈裟だが、生物は本当に神秘的なんだからまぁいいんじゃないの?
印象的だったのはことばを変えて繰り返されていた以下の内容
人間が生物で一番偉いわけではないということ
生物に下等も上等もないし、進化の最後の種でもない
ある条件で優れていても別の条件では劣っているのだ

本当だよなぁ
生物の共存をもっと意識して感謝しなくては!

楽しく知識が増えて大満足の1冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年3月1日
読了日 : 2020年3月1日
本棚登録日 : 2020年2月16日

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