貴族探偵のドラマを観ていたら懐かしくなって再読。これが私の初めて読んだ麻耶先生作品だった。
初めて読んだ時は「こんな奴が探偵を名乗るの……??」と、メルカトルの傲慢さにぽかーんとした。特に「収束」と「密室荘」の探偵にあるまじき事件の終わらせ方は驚かされた。今まで探偵は事件を解決するために奔走するもの、と思っていたから。
再読して改めて「こんな奴を探偵と認めれるかーー!」という気持ちと、「しかし謎解きを聞いてると言いくるめられちゃう……」という気持ちが渦巻くのでした。
好きな短編は上記にも書いた「収束」と「密室荘」
あとは再読していて「答えのない絵本」の構造の面白さがちょっと分かったかも?
”メルカトルは不可謬ですので、彼の解決も当然無謬です。” つまり「銘探偵が語るのは真実」 → では銘探偵が「犯人はいない」と言えば犯人はいないのか?
「犯人はいない」というのは状況としておかしい → 小説内の情報から犯人を検討立てる → 「小説」としては正しくなるが、「銘探偵」という存在としてはおかしくなる、みたいないたちごっこというかなんというか。
初読時は「作中で提示した解決が真に正しいかは作中で証明することはできない」というミステリーの問題を揶揄してるんだろうなというのをふんわり感じたぐらいでしたが、いろいろと想像を膨らませたら楽しい短編集だなあ。
見当違いなことを言ってたら恥ずかしいかも。もっと色んな小説を読んで、また再読したい作品です。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年5月31日
- 読了日 : 2011年9月22日
- 本棚登録日 : 2011年9月14日
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