東京にいる友達に会いに行くとき、 いつも少しソワソワする。
そのソワソワは、その友達に対するものではなく、 「東京」に対する、ソワソワだ。
隣接県に住んでいるというのに、 今のぼくは、東京が日常ではない。
日常だったときもあって、 たぶん、そのときの皮膚感覚が、
でもあると思う。
まだ心を刺激するから、
垣内ひろしさんの「東京の街に出て来ました」は、 もともとブログで発表されたもの。
そのブログを最初に見たときから、 すっとハマってしまった。
冒頭の通り、隣接県生まれのぼくには、 「上京」という感覚は気薄なのだけど、 気薄なゆえに、憧れているところもある。
似たようなところでいうと、 方言がないから、方言を喋ることに憧れがあるのも、 同じかもしれない。
そう、ちょうど東京で働いていたときは、 「上京」してきた人とよく遊んだりしていたのだ。
その人は今はもう、東京にいなくて、 東京で会うことはないのだけど、 今でも、東京に行くと、その感覚が甦ってくる。
そして「東京の街に出て来ました」の雰囲気が、 そのときの感覚にすごく似ている。
垣内さんの「東京」を通じて、 ぼくは「上京」や「一人暮らし」ではなく、 それを思い出すのだ。
東京は大きなおもちゃ箱。
楽しいことも、せつないことも、 素敵なことも、間違ったことも、 ぜんぶしまった、おもちゃ箱。
だから、今でも、ソワソワするんだな。
そんな気持ちになるのです。
- 感想投稿日 : 2012年10月21日
- 読了日 : 2012年10月5日
- 本棚登録日 : 2012年10月5日
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