東京の街に出て来ました

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  • 光文社 (2011年3月19日発売)
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東京にいる友達に会いに行くとき、 いつも少しソワソワする。

そのソワソワは、その友達に対するものではなく、 「東京」に対する、ソワソワだ。

隣接県に住んでいるというのに、 今のぼくは、東京が日常ではない。

日常だったときもあって、 たぶん、そのときの皮膚感覚が、

でもあると思う。

まだ心を刺激するから、



垣内ひろしさんの「東京の街に出て来ました」は、 もともとブログで発表されたもの。

そのブログを最初に見たときから、 すっとハマってしまった。

冒頭の通り、隣接県生まれのぼくには、 「上京」という感覚は気薄なのだけど、 気薄なゆえに、憧れているところもある。

似たようなところでいうと、 方言がないから、方言を喋ることに憧れがあるのも、 同じかもしれない。

そう、ちょうど東京で働いていたときは、 「上京」してきた人とよく遊んだりしていたのだ。

その人は今はもう、東京にいなくて、 東京で会うことはないのだけど、 今でも、東京に行くと、その感覚が甦ってくる。

そして「東京の街に出て来ました」の雰囲気が、 そのときの感覚にすごく似ている。

垣内さんの「東京」を通じて、 ぼくは「上京」や「一人暮らし」ではなく、 それを思い出すのだ。

東京は大きなおもちゃ箱。

楽しいことも、せつないことも、 素敵なことも、間違ったことも、 ぜんぶしまった、おもちゃ箱。

だから、今でも、ソワソワするんだな。

そんな気持ちになるのです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: もってるの
感想投稿日 : 2012年10月21日
読了日 : 2012年10月5日
本棚登録日 : 2012年10月5日

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