影響を受けた映画は何かと問われると、ベタだが『風と共に去りぬ』は挙げたい。
豪華絢爛なセットとドラマチックなストーリー、男より逞しい気性の荒い美女。
日本人が護国のために耐えがたきを耐えていた70年前に
大衆の憧れとしてこの女性像を作り上げてしまうアメリカ文化の先進性に驚いた。
さて、そんな映画の原体験はあるものの、小説は未読。
長いので今後も読むこともないと思う(実は映画も長いので1回しか観ていない)。
本作を貫くテーマである南北戦争についてはよく知らないままであり
この映画がアメリカ人に与えた社会的な影響についても、やはり分からずじまいだった。
小説『風と共に去りぬ』に自然と描かれる南部の黒人差別の正当化に焦点を当て、取材をしたのが本作だ。
結局黒人差別を肯定も否定もせず、何が言いたいのかよく分からない本だったが発見はあった。
例えば、小説『風と共に去りぬ』では、アシュレイほか南部の伝統的貴族はKKKであり
奴隷制撤廃を求める北部人と、開放されて凶暴化した黒人を憎悪していたとか。
作者ミッチェルは伝統的南部人であり、そのことに高い誇りを持っている。
南部人の良識として、白人黒人に上下の差を認め、その上で愛情を持って黒人奴隷に接するべきだと考えている。
そして、奴隷制の枠外の者に対しては敵意を示し、KKKを英雄視している。
そうした描写は映画版では割愛されているので、僕は意識した事がなかったが
現代日本の感覚で言えば、確実に際どい作品である。
また観てみよう。いつか。
- 感想投稿日 : 2012年1月22日
- 読了日 : 2010年8月9日
- 本棚登録日 : 2012年1月22日
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