その扉をたたく音

著者 :
  • 集英社 (2021年2月26日発売)
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本棚登録 : 4738
感想 : 479
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泣いた。

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ミュージシャン志望の29歳無職の宮路は、ひょんなことから老人ホームでギターを弾き語る機会を得た。
もちろん(?)宮路のギターは入所者にまったくウケなかったのだが、ラストのサックス演奏に、宮路は衝撃をうける。
「天才だ…いや、神様だ…」
それは、老人ホーム職員の渡部による演奏だった。

一緒に音楽をやらないか?!と渡部をさそうため、老人ホームを再び訪れた宮路は、そこで水木のばあさんの「おつかい係」になる…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

という拙いあらすじですが、これがどこをどう転んでこれが「泣ける」になるのか?とお思いですね?
ですよね。いやーわかりますわかります。
いや、わたしも読み始めたときは泣くつもりなんてなかったんですよ。
そしてこの導入、音楽の話に行くんでしょ?とおもったんですよ…だってタイトル「その扉をたたく音」ですよ?音楽の扉かな?っておもうじゃないですか。
いや、音楽も出てきますけど、渡部くんも宮路も水木のばあさんもその他の入居者さんも出てきますけど、扉は音楽の扉じゃなかったことはたしかです。

ではどの扉なの??とおもったアナタ、ぜひこちら、手にとってみてください。ちゃんと「扉」、たたかれますから。うん。

ベタといえばベタなんです。なんだけど、泣いちゃったんです。ベタでは泣かないけど、瀬尾さんのベタでは泣いちゃうオトナです。
字も大きくて、めっちゃ読みやすいし、宮路の人生の詰んでる感もすごいし、じっちゃんばっちゃんも憎たらしいのに憎めないし、渡部くんはどうも瀬尾さんの他の作品にも出てくる人みたいだし、そっちもめっちゃ読みたくなったし…
人生詰んでる、とおもったときほど「その扉をたたく音」、効くとおもいます。よろしくお願いします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 瀬尾まいこ
感想投稿日 : 2022年12月13日
読了日 : 2022年11月22日
本棚登録日 : 2022年11月15日

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コメント 4件

Funyaさんのコメント
2023/03/16

最後の3行
刺さりますね~
思わず感嘆のため息が……

こゆきうさぎ148さんのコメント
2023/03/18

Funyaさん
コメントありがとうございます(^^)
返信遅くなりすいません!!
あらためて本書のラスト、読み返してきました。
冒頭との呼応性だけでなく、物語を読むことで変わる「音楽」の捉え方が、すごくいいですよね〜(^^)
瀬尾さんの作品にあるこういう目線が、好きだなあとおもいました。

Funyaさんのコメント
2023/03/18

こゆきうさぎ148さん
「最後の3行」というのは、こゆきうさぎ148さんのレビューのラスト3行のことなんです。わかりにくい書き方でごめんなさい。
「人生詰んでる、と思った」とき。絶望的な状況だけど立ち直りのきっかけが欲しいとき。
確かに効きそうですねー。すごくいいコメントだと思いました。
これからも楽しみに読ませていただきますね。

こゆきうさぎ148さんのコメント
2023/03/18

Funyaさん
あっ、そうなんですね!(驚)
まさか自分の感想が刺さるなんておもってなくて(笑)自然に瀬尾さんの物語のラストだとおもいました〜!
でもその勘違いのおかげで久しぶりに物語のラストを読み直しましたが、物語そのもののラスト3行、本当に刺さりました!
最初に読んだときはエピソードそのものに感動して、ラストの文章はさらっと流してた部分だったので、あらためて読み返せてよかったです。ありがとうございました(^o^)

余談になりますが、ちょうどおなじようなタイミングで小野寺史宜さんの「ひと」に書いた感想にもコメントいただいたのですが、物語は違えど瀬尾まいこさんの「その扉をたたく音」となんだか共通するものを感じました。
なんというか、人生詰んだと感じてしまったときに読みたい本、という共通点といいますか…
はてさて、これはなんの偶然なのでしょうか…この2冊読み返してみろよ、なんか発見するかもよ?!というなにかのお告げ?!(笑)

ブクログでは以前書いた感想にいいねやコメントいただけたりするので、たまに自分で自分の感想を読み返し、自分の感想を自画自賛したり(笑)する機会いただけるのもおもしろいです!

のんびりとおもったこと書いてる感想たちですが、よろしくお願いします☆(^^)

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