エディプスの恋人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1981年9月29日発売)
3.54
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本棚登録 : 2985
感想 : 274
3

「今年の謎は、今年のうちに…」ということで、読みきりました七瀬3部作!イエィ。
3部作通しての☆は3つをつけさせていただきます。

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私立名門高の教務課事務員として働く火田七瀬は、テレパスをもつ超能力者だった。
その高校の生徒・香川智広は、幼い頃からなに者かの「意志」により守られている存在だった。
「意志」の存在に脅威を覚えた七瀬は、智広の周囲を調べ始めるが、やがて自分のなかに突如芽生えた、智広への奇妙な「恋心」に気づき…

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2作目「七瀬ふたたび」のラストで、大変なことになってしまった七瀬だったけど、3作目の本作ではさらっと登場してきてびっくりしました。
2作目とまったく違うパラレルワールドの話??と思うくらいの話運びでしたが、ラストではやはりつながっている世界であり、2作目でラストの背景も説明されます。

「エディプスの恋人」というタイトルから、エディプスを調べた方でカンの良い方は、「意志」の存在の正体にも薄々気づかれるのではないでしょうか。
智広にまとわりつく「意志」は、最初は得体のしれない不気味な存在感ですが、その正体があきらかになったあとの「意志」の行動は、なかなか生理的にきつかつたです。

テレパスである七瀬が、自分の能力が露見するのを恐れているが故、智広のまわりに起きている「怪異」とその原因について調べ始める、という理由はわかります。
ただ本作は、前作・前前作に比べて七瀬が「テレパス」であるという面が、後半に行けば行くほど薄くなってしまっていたようにおもいます。
また、理性的な七瀬であっても、少しずつ「意志」の力に取り込まれていく姿は読んでいてもどかしく、「意志」なんかに負けないで!!!と強くおもいました。

この作品は1977年出版とのことですが、この頃からこんなにも先進的な表現手法をされていたの?!と読んでいてとても驚きました。 (29ページ、124ページ、249ページあたり)
先進的手法については、2作目までを超えていました。

3部作完結としては、すっきりする部分ともやもやする部分(主に生理的に)もあったので、☆3つとさせていただきました。
「今年の謎は、今年のうちに」を達成できた(3作を2022年中に読み切れた)点は、とても達成感がありました。

というわけで(?)皆様、どうぞよいお年を!
また2023年でお会いしましょう!
(2022年12月末日)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年12月31日
読了日 : 2022年12月30日
本棚登録日 : 2022年12月19日

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