私にふさわしいホテル

著者 :
  • 扶桑社 (2012年10月26日発売)
3.61
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本棚登録 : 1299
感想 : 245
2

主人公・中島加代子がハングリーすぎる…
ちなみにホテル業界の話ではなく、新人賞は取ったが単行本デビューできない中島加代子の、スーパーハングリーコメディです。

主人公は中島加代子ですが、語り手は大物小説家・東十条宗典(ひがしじゅうじょう むねのり)60代や、加代子の大学サークルの先輩で今は小説「ばるす」の編集者・遠藤などに、一人称が変わります。
特に東十条とは最初から最後まで好敵手であり、ときには利害の一致から手を組みもしますが、まあ持ちつ持たれつな感じが最後まで続きます。

小説「ばるす」という名前からして、なかなか攻めてるこちらの物語ですが、他にも「直林賞」やら「早生田大学」などなど、あちらこちらに攻めたパロディが詰まっています。
しかも主人公・中島加代子は、逆境にありながらそれでもなんとか小説家デビューして書いていく!!!!という意志が強く、「どこかに『木』が入ると売れる。」(30ページ)というジンクスの1つに乗っ取り、「相田大樹」というペンネームをつけます。
そのくだりを見て、何気なく本書の著者名をみたところ、「柚木麻子」と木が4本も生えていたのには思わず笑ってしまいました。

かとおもうと、現実の小説家の名前もバンバン挙がっており、朝井リョウ氏に関してはしっかり出てきてしっかりしゃべっております。わお。
朝井リョウ氏と著者の柚木麻子氏の関係性に疑問を持たれた方はぜひ、朝井リョウ氏のエッセイ「風と共にゆとりぬ」「そして誰もゆとらなくなった」をお読みいただきたいです。めっちゃおもろエッセイです。このエッセイを読んでから本作を読むと、エッセイと本作における朝井リョウ氏のキャラクターにぷぷっと笑っちゃって仕方なかったです。

いやしかしそれでも☆2なのは、強いて言えばあまりにもドタバタコメディだったから、でしょうか(苦笑)(つまり好みの問題)
あとは、一人称が章のなかでも結構コロコロ入れ替わるので、主人公は確かに中島加代子なんだけど、ちょっと応援しにくかったのでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年12月22日
読了日 : 2022年12月19日
本棚登録日 : 2022年12月19日

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