「つるにょうぼう」と「つるのおんがえし」は同じお話。
タイトルで、お話の中の秘密がすでに明かされているのがスゴイ。
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夫に「つるにょうぼう知ってる?」とこの絵本を見せたら「知らない」と言われたのですが、よくよく聞いてみると「つるにょうぼう」=「つるのおんがえし」とつながらなかった様子。
これはきっと、翻訳本や昔話あるあるかもしれませんね。
ちなみに小2の娘は「つるのおんがえし」を読んだことがあったそうです。
「つるにょうぼう」のすごいところは、謎の女房の正体をすでにタイトルで明かしているにも関わらず、おもしろいところです。
女房の正体を知っていても、そこに肉付けされたエピソードが魅力的であれば、おもしろさを感じるのですね。
「女房」「用足し」「介抱」「あえかな声」など、小2では難しい言葉もありましたが、読み終えてから辞書をひいてみたりしました。
特に「あえかな声」は、わたしも意味がわからず、辞書で始めて意味を知ることができ、とてもタメになりました。
またお話の肝である「はた織り」も、娘は見たことがなくて「??」となっていました。
こういう昔の技術を目で見て知っていることは、昔の暮らしを知るということだけでなく、昔話を楽しむことにもつながるんだな…と思いました。
女房は3回はた織りをするのですが、そのときの女房のシルエットの変化からも、容易に女房の正体がわかるようになっています。
そして、だんだんと人間の姿を保てなくなっていることを“絵で見せる、感じさせる”ことで、女房が弱っていることも伝えています。
特に最後のシーンは4ページを使って、主人公・よ平と女房のあいだにできてしまった、埋められない距離感を印象づけています。
よ平が、欲に目がくらんで手離してしまった本当の幸せ、そしてそれはもう二度と戻らないものであることを教えてくれたラスト。
本当の幸せとは何か、あらためて考えるきっかけをくれる昔話です。
- 感想投稿日 : 2021年2月11日
- 読了日 : 2021年2月2日
- 本棚登録日 : 2021年2月2日
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