ハケンアニメ!

著者 :
  • マガジンハウス (2014年8月22日発売)
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本棚登録 : 4557
感想 : 692
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実は再読!です。
こちらの続編というかスピンオフ作である「レジェンドアニメ!」を読もうと手に取ったのですが、登場人物をかなり忘れてしまっていて…(汗)
というわけで再度手に取った「ハケンアニメ!」。
前回読んだときから3〜4 年くらい?は経っていて、その頃はブクログもしていなかったため、読書ノートにしか記録なし。(読書ノート、見返してないけど)
なのでいい意味で程よくストーリーや登場人物を忘れていて、再読でしたがおもしろく、夜更かしして読み切ってしまいました!
おかげで今日の目のクマは一段とひどいです(笑)

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舞台はアニメ制作の現場。
第1章の主人公はアニメプロデューサー有科香屋子(ありしなかやこ)。
彼女に多大な影響を与えたアニメ「光のヨスガ」の監督・王子千晴(おうじちはる、男性)は以後フリーとなり、さまざまなアニメ作品に助監督や演出として関わっていたものの、メイン監督作品を作らずにいた。
有科はそんな王子と仕事をすることを夢みて、ひたすら仕事をしてきた。

そして「光のヨスガ」から9年…
有科はついに、王子監督のアニメ作品のプロデューサーを務めることになる。
しかしその制作中、大問題が持ち上がり…

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第2章の主人公はアニメ監督の斎藤瞳。
親の借金問題であまり裕福でない家庭で育った瞳は、お金の稼げる仕事につこうと、大学も法学部を選んだ。
しかし大学2年のとき、友だちが貸してくれた1本のアニメが、瞳の人生を変えた。

このアニメを作った監督と、仕事がしたい。
アニメ制作の現場で働きたい。

そんなおもいに突き動かされた瞳は、業界大手であるトウケイ動画へ入職。仕事に邁進し、ついにアニメ監督となった。

王道ともいえる夕方枠のアニメ作品監督となった瞳だったが、プロデューサーの行城の方針と噛み合わないことが出てきた。
さらには出演声優陣とも、ある出来事から溝を抱えてしまい…

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第3章の主人公はアニメーターの並澤和奈。
新潟で起業されたアニメ原画を受託する「ファインガーデン」の所属である。
原画で関わった斎藤瞳監督アニメ作品の舞台モデルが和奈の住む地方だったことから、聖地巡礼で地元に賑わいを作り出そうと観光課が乗り出してきた。
和奈は観光課の宗森周平から、聖地巡礼の準備への協力を依頼されるのだが…

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辻村深月さんのお話はどちらかというとダークな色合いが濃いめの作品が多いのですが、この「ハケンアニメ!」はエンターテイメント!という感じで、お仕事小説でありながらそれぞれの人間ドラマでもせつなくなったりキュンとしちゃうのです。
またいけ好かないヤツだった人が、主人公が変わることで見方が変わり、そんな悪いやつじゃないんじゃん、ちゃんと考えあってやってるんじゃん…とわかるところも、人間くさくて憎めないなあ〜とおもいました。
連作短編なのですが、章を重ねるごとに人間関係が深く重なり合い、話の厚み・盛り上がりが増し増しに!
第3章はもう、いままでの人間関係性をあますところなく絡めまくって、ぐわっと最高潮!でした!(←言葉のチョイスおかしい)

辻村深月さんの他の作品で出てきたキャラも脇役として出てきて、「ウホッ!」となりました。
「ウホッ!」となりたい方はぜひ、「スロウハイツの神様」(←結構長い小説で、人間関係がつかめるまではちょっと大変ですが、つかんでしまえば夜通し読めます)と「V.T.R.」(←こちらは中身まで読まなくても、存在さえ知ってればOK)を手に取ってから「ハケンアニメ!」を読んでみてください。

更に挿絵がCLAMP先生なところも「ウホッ!」ポイントに!
小中学生の頃、CLAMP先生にドハマリしたことのあるわたしにとっては、もう心躍る挿絵でした。
登場人物がわかってきてからは、表紙・裏表紙の人物が誰かわかるようになったので、脳内ではそのビジュアルで場面が再生されまくってました。

あとは、登場人物メモがいるかも!?しれません。
数年前に読んだときはメモも取らずに読み切れたのですが、今回はムリでした(脳の老化…(汗))
名字だけ登場の人もあわせると、かなりの人数が出てきます。
また登場人物が名前の読みはよくある人でも、漢字がキラキラしてる人も何人かいて覚えきれず、メモを取って読みました。

フィクションとはいえアニメ制作の大変さもつまりまくっているこのお話ですが、制作現場の知識がほぼないところから取材して、この小説を書かれた辻村深月さんの並々ならぬ熱意を感じました。
スピンオフ続編「レジェンドアニメ!」はどんなお話になっているのか?!とてもたのしみです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 辻村深月
感想投稿日 : 2023年3月2日
読了日 : 2023年3月1日
本棚登録日 : 2023年3月1日

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