入荷先:目黒区立中目黒駅前図書館
第2シーズンの後半、会津戦争から函館までが対象。多くの「新撰組」を取り上げた作品はこの逃避行を悲劇の英雄としての土方歳三を際立たせる傾向にあり、『薄桜鬼』の土方ルートでも基本的なメゾットは変わらない。異なるのは、(概念説明の根拠に欠ける)「誠」や「武士」と国民国家としての日本をこじつけるがごとくの展開であるのに対して『薄桜鬼』では単純に「残された寿命」と位置づけてリミットまでの時間から逆算した展開になっていることに留意する必要があるだろう(これは仕方のないことなのだが)。
本書を一読して次に読むべき本はなんであるか。評者ならば大貫恵美子の『ねじ曲げられた桜』を挙げる。なぜ風間が『薄桜鬼』と名づけたのか、そしてそれが近代社会以降どのようにねじ曲げられていったのかという神話の形成に関わる問題であると同時に、オーディエンス側にある一種の「甘え」をきちんと総括するためには避けては通れない道だからだ。
読書状況:読み終わった
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借受:23区
- 感想投稿日 : 2011年7月23日
- 読了日 : 2011年7月23日
- 本棚登録日 : 2011年7月23日
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