■本の概要
内容は主に、東京都副都知事 猪瀬直樹氏が、震災を通して考え行動してきたことで、以下の3部構成。
1.災害などの非常時のリーダーのあり方
2.「想定外」をなくすために日常的にやるべきこと
3.東京都が今採るべき攻めの政策(地下鉄,水道,電力)
■感じたこと
・エネルギー政策や増税などで迷走している「決断する力」の無い日本政府と比べて、東京都は即断即決でこんなにうまく機能しているんだぞ、という自画自賛が多いが、実際に言うだけのことはしているようなので頼もしい。だんだん猪瀬氏のことを応援したくなってきた。
・東京都は、東京都だけのためにあるのではなくて、地方自治体のトップランナーとして手本となり、困っている自治体(被災地や経営破たんした夕張市)への職員・ノウハウ提供などで貢献することが「義務」であると捉えているとのこと。また、水道事業の運営ノウハウをベトナムに売り込んだりもしてるらしい。尖閣諸島購入の話もあるし、ホント、国と地方自治体の境界が分からなくなってくる。こういうところから、地方分権・道州制への流れになっていくのかも。
・震災時に、TwitterからのSOSで東京都から独断で救助ヘリを飛ばして、障害児童施設に閉じ込められた400名を救助したというエピソードは、これからの新しい公益サービスの姿を感じさせる。
・電力の「地産地消」として、東京の近くに天然ガス火力発電所(石油火力発電所と比べて低コストでエネルギー効率が良い)を新規に作るというプロジェクトについても結構具体的な方策まで検討している模様。自然エネルギーの効率が上がるまでは、脱原発の現実解として、これしか選択肢は無いんだと思う。
- 感想投稿日 : 2012年6月3日
- 読了日 : 2012年5月31日
- 本棚登録日 : 2012年5月1日
みんなの感想をみる