「バナナフィッシュにうってつけの日」を読んでから、いつかは読まなくてはと思ってた本。
でも、読まなくても良かったかも。
「大工よ、」はバナナフィッシュの前日譚。グラース家の長兄、シーモアの結婚のドタバタを次兄バディが語る。子供の頃から天才で、兄弟姉妹でラジオ番組を持っていたというのは、フラニーとゾーイでも語られていたこと。所謂、世間と折り合いが悪い性格がうっすら伝わってくる。でも、浅い描写で終わっていると思う。
大工よ、…のタイトルは、文中に出てくるけれど、このタイトルにする理由ある?
「シーモアー序章ー」。しっかり読み終えたのは、翻訳家の優れた仕事のお陰。しかし、こんなに文章を読む喜びの無い読書って何だろう。普通だったら、さっさと途中で読書を辞めてたと思う。
次兄バディは40になり、小説家であり、大学での教職にも就いている。サリンジャーの分身のなのか。しかし、シーモアのことをダラダラ語っているけれど、何も語っていないと云っていいぐらい中身がない。
あとがきによれば、「大工よ、」がニューヨーカーに発表されたのが1955年11月。表紙の折り返しには、「大工よ、…」と「シーモアー」が刊行されたのが1963年。
この時間の間に作家としての才能が尽きたんじゃないのかな。
村上春樹さんや柴田元幸さんもサリンジャーは重要な作家だと聞く。だけど、チョッとした才能はあったんだけど、それが尽きて隠棲したんじゃないの。みんな勘違いして、有難がっているんじゃないかと思う。
「ライ麦畑」は村上訳のキャッチャーも読んだ。「フラニーとゾーイ」「ナイン・ストリーズ」も読んだ。結局、心が動かされことはなかった。もう。これでいいかな。
- 感想投稿日 : 2023年2月23日
- 読了日 : 2023年2月22日
- 本棚登録日 : 2023年2月19日
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