どくろ杯の続編。すいすい読める本ではないが、思わず時間がかかった。
夫人の森三千代を先に巴里に送り、金策の後、自身も巴里へ。夫人の住まいの扉をノックするとき、男がいるかもしれないと考える。「入って大丈夫なの?」読んでいて、気持ちが荒ぶ。何故、二人でいるんだろう。
「ラ・ボエーム」のことも出てきた。あのオペラの貧乏芸術家達の生活は貧しくとも美しいものだが、この二人には将来も目的もなく、相変わらずのその日暮らし。
心情を吐露する段では、息の長いセンテンスが続く。何ともリズムの良い文章。著者の詩作に通じるよう。巴里や自分自身をボロクソに貶している。
手榴弾を片手に死んでいった中国人の女兵士の姿にゾクゾクしているという記述。何があったか、今ひとつ判りづらいが、そう云えばこの人は、やがて軍国に傾く日本に喧嘩を売るんだよな、と変に納得。しかし、巴里にも日本にも属そうとしない心情は疲れるだろうに。
巴里にいる日本人同朋やフランス人。ロクデナシばかり。著者自身、そのロクデナシであることは間違いない。少々ウンザリしながら、ページを捲る。
なんでこの本を読み続けたのか、僕自身分からない。適当な感想が表現できないが、毎日この本を少しずつ読み続けることを楽しんでいたことは確かなこと。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年10月23日
- 読了日 : 2011年10月23日
- 本棚登録日 : 2011年10月16日
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