今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1994年3月4日発売)
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本棚登録 : 4783
感想 : 545
4

自身のアルコール依存症の経験をもとにした小説
安いトリスウイスキーを飲みながら読みたい

かなりおしゃれな題名だが主人公はアル中患者
アルコール依存症に関する資料が詳細に引用されていたり
禁断症状による幻覚もとてもリアルで
酒飲み人間には勉強になると思う
文章からもアルコールに酔った臭いがするのに、どこか醒めた視点の小説
酒を飲まない人にはおそらく酒に溺れたダメな男の物語

「社会生活が問題なんですよ。一歩病院を出たら、飲み屋やバーや自動販売機だらけなんですよ。病院の外はね、アルコールの海なんですよ」


病院で出会った他の患者や、担当の医師との会話でアルコールについて一緒に考える

クライマックスの『アルコホリック家族とネットワーク・セッションによる援助・症例(一)』という資料
アル中患者が周囲にどれほどの悲劇を生んでしまうのか主人公は思い知る
それがきっかけで退院し、トリスバーでミルクをストレートで頼むラストはとても感動的だった。

お酒はほどほどに。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内文学
感想投稿日 : 2013年3月27日
読了日 : 2010年5月11日
本棚登録日 : 2013年3月27日

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コメント 1件

yuzlogさんのコメント
2013/05/27

>のぞみさん
一時期ハマってエッセイや小説をいくつか読みました。リアルタイムでは知りませんが、中島らも、すごいですね。

博学でいろんな視点を持っていて、でもそれをひけらかすことなく笑いにしてしまったり。この人の頭の中は一体どうなっているのだろう…。

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