彩雲国秘抄 骸骨を乞う 上 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2016年2月24日発売)
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本棚登録 : 410
感想 : 20
4

ハードカバーを購入していたにも関わらず、ずっと積んでいたため今回文庫になったのを機に、書き下ろしも収録されているしこちらで読了。

悠舜の最期に泣きそうになった。
大嘘吐きの姫家。君主には必ず疎まれロクな想いをしてこなかった一族。
悠舜も例にもれず、一族が滅ぶかもしれないというのに紅家に見捨てられた過去があり、そのとき足が二度と使い物にならなくなるなどほんとロクな目に遭ってない。
そんな難儀な人生を歩んできた。
最期に劉輝という君主を手に入れられたのは、そんな悠舜の人生においてとても奇跡的なものだったと思う。
旺季との出会いも奇跡だけれど、悠舜の願いを旺季では叶えてやれない。
劉輝こそが叶えれたのだ。
劉輝の薄闇の世界を知り、劉輝もまた悠舜の薄闇の世界を知り、お互い深いとこで繋がれていた。
劉輝のあの執着は悠舜にとってはちょうど良かったのかもしれない、決して良いものではないけれど、悠舜にだけはあれが合っていたと思う。
薄闇の世界を知ったものを決して手放しはしない劉輝。
そして、その世界を知るのは悠舜と旺季だけ。旺季が知っていることは劉輝は忘れているから認識しているのは悠舜だけ。
そんな悠舜を失った喪失感は尋常じゃなかった。
本当に泣きそうになった。

悠舜はロクな人生じゃなかったけど、凛と子供という宝物を手に入れられて良かった。
凛はちょっと辛いけど、それでも悠舜と結婚したのが凛で良かったと思う。
悠舜が旺季以外で唯一我が儘を好きなように言える相手。
あの悠舜にそんな相手が出来たことは奇跡だよなぁ。

旺季の最期もまた綺麗で切なかった。
旺季と戩華の関係性が凄く好き。
旺季から戩華への想い、がかな。
認めれない、認めたくない相手。だけど、ひたすらその相手の行く先に自分も行こうと突き進む。
旺季を旺季たらしめたのは戩華の存在があったのもあるよなぁ。
旺季にとっての運命的な相手が戩華だったのだと思う。
そんな戩華が死ぬと分かったときの旺季が読んでて切なかった。
戩華が死ぬ?なんだそれ…、と悪い冗談、悪夢にしか思えなかったんだよな。
自分をここまで競わせて人生を懸け(翔け)させた者が死ぬ、ってのは受け入れがたいよな。
戩華の最期に旺季が泣いたシーンは一緒に泣きそうになった。
戩華を死なせた後、一人で声もなく泣く旺季に胸が痛くなった。

獏は莫耶の化身なのかなやっぱり?
やけに莫耶に拘るし、色々と莫耶との関係性が気にかかったし。
莫耶と言えば、莫耶の認めた相手は旺季だったんだな。
巡り巡って旺季の手に戻ったところは笑った。
なかなかしつこいな莫耶(笑)
最期に使った剣が莫耶ってところがまたいい。

タンタンの旺季への想いには驚いた。
そうか、御史やってたら旺季は尊敬の対象だよな。
それにしてもあそこまでタンタンが旺季のことを尊敬してたとは。
ボケ老人の行には笑った。

旺季の最期を看取ったのはやっぱり晏樹だったか。
そうなる気はしてた。
皇毅でも悠舜でも獏でもなく、晏樹だろうなって。
その晏樹のことは下巻に書いてあるっぽいから早く読まないと。

読みた過ぎて角川の買ったけど、ビーンズからも出るんだな。
あっちは挿絵がついてるようだからビーンズの方も買う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 少女小説・TL
感想投稿日 : 2016年2月28日
読了日 : 2016年2月28日
本棚登録日 : 2016年2月25日

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