個人的に江戸川乱歩と言ったら、『少年探偵シリーズ』や『明智小五郎シリーズ』、『孤島の鬼』などより先に、初期の大傑作である『人間椅子』や『芋虫』――殊に『芋虫』が浮かんできて、その救いようのないラストを思い出し、身震いしてしまうのは私だけでしょうか? 私が初めて乱歩という小説家に感化されたきっかけになった作品は、紛れもなく『芋虫』で、初読の衝撃と感動は今でも忘れられません。
そんな大好きな作品のコミカライズをあの丸尾末広先生が手掛けているということで、読みたくて仕方なかったのですが、ついにその夢が叶いました! うれしいー
やはり圧倒的なまでの画力! 痛々しく醜い須永中尉の姿や、そんな彼と時子との官能的な交接、絡み合う植物、不気味な昆虫達・・・・・・と、とにかく一つ一つの要素に業を感じます(美と醜を同居させた離れの描写とか、凄すぎる)・・・・・・! 原作の小説自体はそこまで長い話なわけではありませんが、丸尾版ではふんだんにページを使い、贅沢でデコラティヴな仕上がりになっているのも、この話を残酷劇に終わらせない、どこか儚く耽美なものにしていると思うんですよね・・・・・・。
やっぱり強烈だったのは時子が就寝中に見た、悍ましい異形や蟲の幻ですね。ぞっとする嫌悪感と、やはりひれ伏されたような「凄み」を見せつけられた感じがします。あとバナナ(笑)
追記:時子が須永中尉の目を抉る場面を襖から黒猫が覗いてるのって、もしかしてポーの『黒猫』を暗示してるのかな?
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年11月11日
- 読了日 : 2021年11月11日
- 本棚登録日 : 2021年8月13日
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