まさか『ミシン』を初めて読んだ時、『ミシン2』なる小説が存在するとは思いもしなかったので、ちょっとびっくりしつつも読了しました。嶽本野ばらさんの作品、けっこー読んでますね。
冒頭、正直蛇足かなーと思いました。だって、『ロリータ・デス』でミシン自身が「今すぐ死んで/そうすれば愛は不変になる」と歌っていて、『ミシン』では傘子のミシン殺しを仄めかすところからも、この『ミシン』はよくまとまってて素敵だなーと思っていたわけで、それがこう運良くミシンが生きていて、嫌々言いながらもどこか楽しそうに傘子と交流を深めていく場面を見せられても……と。
ですが、物語が後半に進むにつれ、ライブ中の描写が激しくなっていくにつれ、ミシンの脆さと傘子の強さが現れてくるにつれ、もうページをめくりっぱなしでした(笑)。結局ラストまでミシンと傘子は死ぬことなく、希望を持たせたエンドでしたが、それに納得してしまうくらい、涙が出そうになるくらい、心を奪われた物語だったのも確かなのです。こういう、エンタメ的な小説なのに、とても文学的で深い物語、嶽本野ばらさんの他の著作を読んできたからこそ、尚更『ミシン2』での心象には感動せざるを得ませんでした。
あと、所謂嶽本野ばらさんらしさも全開なので、やっぱり自分のような人間には刺さるのかなと思います。
なんだよ、結局良かったんじゃねーか! 何が蛇足だよ! 最高だぜ、まったく……!!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年11月28日
- 読了日 : 2021年11月28日
- 本棚登録日 : 2021年6月29日
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