「幕末」に殺された女たち (ちくま文庫 き 26-2)

著者 :
  • 筑摩書房 (2015年5月8日発売)
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 幕末維新期には多くの命が失われたが、討幕派・佐幕派問わず犠牲になった男たちの陰に運命を共にした女たちもいた。本書で取り上げられているのは22人の女性だが、特に有名なのは井伊直弼の妾・村山可寿江、新選組隊士の芹沢鴨の妾・梅、会津藩家老の西郷頼母の娘・細布子(たえこ)、会津藩娘子隊・中野竹子あたりだろう。特に天狗党の乱に関する書籍は極端に少ないため、武田耕雲斎の妻・とき子の章の記述は水戸藩の苛烈な内部抗争を詳しく知ることができる。

 それ以外の項も様々な立場の女たちが様々な形で非業の死を遂げた顚末が語られており、その都度違った角度から幕末史を見ることができて興味深い。人物によって史料の多寡の差が激しく章ごとのページ数にはばらつきがあるが、時代の激流に翻弄されて処刑されたり夫の後を追って自刃した女性も多く、悲しくやるせない気持ちになる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2021年2月11日
読了日 : 2015年7月11日
本棚登録日 : 2021年2月11日

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