オリジナルの呪いを考案して、鬱憤を晴らしていたら、本物の呪いになっちゃって、それがウィルスみたいに拡大している内に、呪いをかけている側に返ってきているという流れになるのか。
最初は、架空の人物を酷い目に合わせる、呪ってみるというのだったのが、架空の怪談話の登場人物の名前を憎い人の名前に変更して、ねっとの掲示板なのどに掲載して拡散するとか、そういったささいな悪意で、手順を踏んだ呪いではなかったのにな。
この話の作者を巻き込んで、読者を呪いゴッコの輪の中に引き込んで、呪い返しというか、穢れみたいなものを分散しようという魂胆なのか。
横次鈴と洋子という二人の女性が出てくる。
それぞれに語られる体験談の中で、横次鈴という女性が、酷い目にあったりおかしくなったりしているが、横次鈴は一人の女性の事を指しているのだろうか?
なんて思ったりした。
呪いの対象としての概念が横次鈴なのかなとも。
ねっとの中で無限増殖していく悪意の象徴として、洋子と横次鈴がいるのかな。
スッキリする回答のないお話なので、怖いは怖いけれど、答えのないもよもよが多く心に残って、もう怖くて読めない!とはならなかった。
だけど、途中の
「それを繰り返したせいで、どんどん変な方向に向かって行ったんですよ、みんな」
彼がそういうと、あなたの頭の中にはその台詞を喋っている彼の声が入ってきました。
で、実際に、男の声が聞こえてくる。音として「聞こえて」いる訳ではないけど、脳内再生されているので
後ろから聞こええいた男性の声は、回り込むように右耳を経由して、今度は正面から聞こえている。
と、続く一文で、見えない存在が自分の直ぐ側にいるような気配を感じてぞっとした。
本の内容をちゃんとわかっては居ないけれど、ゾワゾワ怖さを楽しめるポイントが何箇所もあって、楽しい本だった。
- 感想投稿日 : 2023年8月8日
- 読了日 : 2023年8月8日
- 本棚登録日 : 2023年8月8日
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