『人を喰うモノたちの物語』
個人的にはこの本には、面白いけれど、良くも悪くもあっさりとしていて、食い足りない、あと一押し欲しかった本という感想を持ちました。
構成としてはSF的だったりホラー的な物語を7編集めた短編集です。
内容としてはグロテスクな物が多いのですが、物語内ではそれが当然の事のようにあっさりと書かれている物が多く、あまりグロテスクには感じない不思議な作風です。
個人的に面白かったのは「枷」、好きなのは「それでもおまえは俺のハニー」「或る彼岸の接近」です。
「枷」では主人公の拘りの為の作業が(良い意味で)おぞましい所が、「それでもおまえは俺のハニー」では駄目な人間が自分なりに突っ走る所が、「或る彼岸の接近」では弱さを持つ人間なりに最後まで思いやる所が、それぞれに印象に残りました。
全体の感想としては、この本に収められている短編はインパクトのある環境設定に変わり者ながらも感情を持つ登場人物を置いてショッキングな出来事を展開させており面白い短編集でした。
しかし、短編であるからなのか、それとも作風からなのか、衝撃的な出来事が展開されても余韻が少なくあっさりと終わるといった印象を感じました。
総じて面白いだけに、個人的にはもう一押し欲しかったという感想です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年11月9日
- 読了日 : 2014年11月9日
- 本棚登録日 : 2014年11月9日
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