きのうの世界(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770378

作品紹介・あらすじ

上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。

感想・レビュー・書評

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  • 3つの古い搭やそれにまつわる言い伝えが残る、不思議な町で、よその町から来た男性が殺された。彼は何を探っていたのか。なぜ殺されたのか。
    いろんな人からの聞き取りのような情報が小出しにされるが、上巻だけではまだ全体像が見えない。恩田ワールドだなぁと思いつつ、後半が気になる。

  • ひとりの特殊な記憶力の持ち主が見知らぬ町で殺された。何の為にあるのかわからない塔がある町を調べていた殺されたその人の目的とは?

    「あなた」はその事件を調べているうちにいくつもの謎が見えてくる。

    下巻も楽しみです!

  • 「殺人か事故か」という帯に惹かれてミステリーだと思い込んで読み始めた本。
    ミステリーと言われると、少し違う。
    謎を解き明かすというよりは、死んだ人間の生い立ちを少しずつ覗き見る感じ。


    あらすじ
    上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。
    一年後の寒い朝、離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。
    殺人か事故か、どんな形でそこまで至ったのかを丁寧に綴られているお話。

  • 分からないことだらけ。。

    でも、謎に吸い込まれるように読み進む。

    会社の送別会で忽然と姿を消した男は、なぜその土地へ渡り、殺されたのか。

    事件との関わりがありそうで動向が気になる人物はこの後いかに。。。

    島には何か秘密があるのは間違いなさそう。

    それらがどう展開していくのか、『下』へ続く。

  • この不安感に包まれた空気感や、地に足がつかない様な雰囲気を創り出せる作者はすごいと思う。

  • ミステリーのようでおとぎ話のような作品。
    黒い塔、謎の地図、鬼、姿の見えない気配、鋏と亀と天の川…そういった不可思議なワードが次々と出てくる。
    物語全体から不気味さが漂っている。
    その一方で、一体これがどう繋がるんだろう。と思いながら読み進めるのは、見知らぬ土地を探検するようなロマン心をくすぐられた。

  • 淡々と穏やかに流れる日常の中にうっすらとした恐怖。これぞ恩田陸の真髄!といった作品。

  • 下巻が気になる!この後、どう展開するのだろう~!

  • 30代半ばの実直なサラリーマン市川が突然失踪し、一年後に、縁の無いはずのM町で刺殺体となって発見されたことをめぐる物語。○○の事件、○○による幕間、という独特のタイトルで、M町に住む双子の老婆、失踪した市川本人、市川の死体を発見した郷土研究者、M町に住む高校生、と、いろいろな人の視点で細切れに町の不思議が語られます。これぞ恩田陸作品!という独特の雰囲気と、この話はどこに向かっていくのだろうという期待と不安がないまぜになった気持ちを楽しみながら読了。まったく思いも寄らなかった終わり方。読後には何とも言えない余韻が残ります。恩田ファンにはたまらないけど、わかりやすい作品が好みの人は、不完全燃焼で物足りない、と思う向きもあるかもしれません。数多い不思議エピソードの中でも、焚き火の神様の話が一番好きでした。大変面白かったです。

  • 「あなたはドアを開ける」、「あなたは気になって後ろを振り返った」など、テーブルトークRPGのような独特の語り口調で表現される物語の幕開け。否が応でも期待が高まる作りはさすがだ。各章で文体や視点が変わっていくので、飽きずに読み進めることができた。

    恩田陸を読むといつも思うのは、閉鎖的な町という空間の書き方の巧さ。というより「閉鎖された場所」そのものが得意なのか。著書に多い学園ものにも言えるけど、こういう場所では独特なルールや世界観があって、そこに必ず妙な不安と心配が付随しているのがお約束。そして、なんでもないことに「怖さ」を見いだすのが著者の十八番でもある。今作で言えば「窓の外から覗く紫陽花がうなだれた人の顔に見える」という表現なんかがそう。ただの紫陽花が怖い。この辺の相性の良さのせいか、「地元ルール」的なものが強ければ強いほど面白くなる傾向がある気がする。

    物語の内容にも簡単に触れておくと、瞬間記憶という見たものをそのまま切り取って覚えてしまう男が突然の失踪。その後、遠く離れた町で不可解な死を迎える。視点が二転三転して語られる現在と過去。盛り上がりには欠けるものの、緻密で味のある序章として下巻へ繋がっていく、といったところ。

    徐々に明らかになる事件の全容と、謎が謎を呼び解明されないモヤモヤのバランスがもどかしくもちょうどよかった。ただ、いくら下巻があるとは言っても、もう少し盛り上がって欲しかったのが本音。同じ内容で一般的な章立て・構成(ずっと同じ視点とか)だったら途中でめげていたかもしれない。

    【キーワード】
    水無月橋、全てを忘れられない人生、保護色のような男、幽霊のダンス、三本の塔、狐火、焚き火の神様、メフィストフェレス、計算された白々しさ、チュートタウン、『塔に見守られて』

    【主要人物】
    「あなた」、「あいつ」、市川吾郎、古野忠明

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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