海の王子 1 (藤子・F・不二雄大全集)

  • 小学館
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本棚登録 : 95
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091434166

作品紹介・あらすじ

「ドラえもん」を筆頭に「オバケのQ太郎」「パーマン」「キテレツ大百科」など数多くの名作、傑作を生み出してきた藤子・F・不二雄先生の作品をじっくりたっぷり楽しめる愛蔵版まんが全集。

●熱き正義の魂が燃え上がる!!●
痛快! 胸おどる!! SFアクション大巨編!! “少年サンデー掲載集” 黒いおおかみの挑戦(59年01号~13号)/ 海へび大帝の猛襲(59年14号~23号)/ 赤いサソリの恐怖(59年24号~34号)/ 鉄の獅子の襲来(59年35号~60年04号)/ 恐龍帝国の決戦(60年05号~15号)/ 砂漠の鷹(別冊60年春季号)/ 海神ポセイドンの謎(60年16号~27号)/ ロケット・オリンピック(別冊60年夏季号)

感想・レビュー・書評

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  • 4位

    もしかしたら……
    藤子不二雄が『マジンガーZ』を
    描いていたかもしれないんですね。

    『海の王子』は「週刊少年サンデー」の
    創刊号(創刊号!)から連載開始。
    世界征服をたくらむ悪党どもを
    海の王子とその妹チマの二人が
    ロケット"はやぶさ号”に乗ってやっつける
    燃える海洋冒険アクション漫画です。

    敵役が硬質な美しさを放っています。
    「海へび大帝の猛襲」に
    「鉄の獅子の襲来」「恐竜帝国の決戦」
    題名からして格好いい。

    後で『オバQ』が始まったとき、
    「サンデー」読者は戸惑わなかったのかなあ。
    きのうまで活劇の人だった藤子不二雄が
    いきなりドタバタギャグを描くなんて。
    『海の王子』の路線を突きつめていけば
    今ごろロボットアニメ隆盛の
    立役者になっていたかも……
    あ、「ドラえもん」もロボットアニメか。
    ともかく、藤子不二雄の運命を決めたのは
    『オバQ』でしたね。

    『海の王子』は対等な合作でした。
    正義の味方二人はF先生の担当、
    悪いやつらはA先生の担当。
    (当時はFもAもなく、藤本・安孫子でしたが)

    『オバQ』はF先生の色の方が強く、
    その次の『パーマン』では、A先生は
    パーマン2号ブービーを描いただけ。
    そのまた次の『21エモン』は100%F先生。
    『ウメ星デンカ』も同様。
    しばらく途絶えた後、
    70年代に再び「サンデー」に連載された
    『プロゴルファー猿』は100%A先生の作品。

    「サンデー」の歴史を見ると、
    藤子不二雄が合作をしなくなる過程が一目瞭然です。

    それにしても、『海の王子』における役割分担は
    F――子供向けでやさしい
    A――大人向けでブラック
    という世間の誤った固定観念を
    なぞっているみたいでおかしい。

    今だったらチマは「萌え」の対象になるかも。
    「妹」で「制服」を着ていて
    「戦う美少女」って、完璧すぎる。
    海の王子を「おにいさま」と呼ぶのも
    今だったら萌えポイントになるでしょうね。

    全集の1巻で最も読み応えがあったのは
    「海神ポセイドンの謎」。
    ポセイドンが決戦の場に十字架を立てて
    「これはきさまたちの死刑台だぞ」
    と海の王子たちをおどすコマなんて最高!
    アトランチスの王子アポロの
    中世的な魅力にもドキッとします。

    ちなみに私は、海の王子が戦闘中に
    「アハハ、どうだい、ぼくのねらいはたしかだろう」
    と珍しく自画自賛すると、チマがすかさず
    「じまんはあとにして」
    と冷静に注意しているのが笑えました。

    読切の「ロケット・オリンピック」は
    冷戦時代を反映した作品です。
    アメリカ・ソ連双方がフェアに戦い、
    最終的には日本代表の海の王子が優勝する。
    海の王子はカイン王国代表なんでは、
    というツッコミは野暮でしょうね。

    この大会を妨害していたスケルトン帝国は
    A先生の痛快スパイアクション
    『シルバークロス』の敵役です。

    海の王子は、大好きな『ブラック商会変奇郎』
    (こちらもA作品。『魔太郎がくる!!』の後釜)
    にもちょこっと顔を出すので、
    好事家はお見逃しなく!

  • 黒いおおかみの挑戦(59年01号~13号)
    海へび大帝の猛襲(59年14号~23号)
    赤いサソリの恐怖(59年24号~34号)
    鉄の獅子の襲来(59年35号~60年04号)
    恐龍帝国の決戦(60年05号~15号)
    砂漠の鷹(別冊60年春季号)
    海神ポセイドンの謎(60年16号~27号)
    ロケット・オリンピック(別冊60年夏季号)

  • ついに『海の王子』が来ました。創刊された『週刊少年サンデー』に手塚治虫や寺田ヒロオと並んで連載されていた海洋冒険物。連載当初は高垣葵の原作であったそうで、今回の解説も書いている。
    海の王子と妹のチマが水陸空マルチに活躍するハヤブサ号に乗って悪者を倒していく勧善懲悪のシンプルな物語。海洋冒険物と書いたが海で活躍するのは最初だけで空を飛んだり土に潜ったりしている。シンプルな上に古くさいので退屈なのだが(もちろん見るべき箇所は多い)、後半久しぶりの海もの「海神ポセイドンの謎」から面白くなった。物語が重層的に語られより藤子不二雄らしくなったところをみるとこのあたりから高垣葵の原作がはずれたのかもしれない。解説にもある通り当時高垣氏は超多忙であったようで、ラジオドラマを週に7本かけもちでやっていたそうだ。当時の子供向け漫画ならこのくらいの単純さでということだったのだろう。今読むと古く見えてしまう。
    小学館『サンデー』に連載されていたのに単行本は集英社からの刊行。同じ大学館から分かれた一ツ橋グループなのでおかしな話ではないが、一時期は不思議に思っていた。今でもアメコミを出版している小学館集英社プロダクション(旧小学館プロダクション)という会社があるから判りやすい。小学生のころすでに廃刊になっていた集英社版の単行本を注文したのは遠い昔。
    中央公論社(現在は中央公論新社)から出たFFランドから全五巻刊行されたが揃えられなかった。今wikipediaで調べたら朝日ソノラマのサンコミック版もあったとは知らなかった。小学生の俺に教えてやりたい。当時でもそっちなら入手可能だったかもしれない。

  • 非常に時代感が出てる作品。たぶんその時代を知ってる人にはたまらない気がするけど、あいにく私はその時代は知らない。なんとなく古典的漫画という感じもある。

  • 「オバケのQ太郎」以前の藤子 不二雄って、知らないような気がします。多分、今回のこの「海の王子」を読んだのが、はじめてです。

    まだ、自分のスタイルを作る前とということで、展開自体は波瀾万丈なのですが、今の目で見ておもしろいかというと、とっても微妙……というか、けっこう読むのが苦しかったです。

    まあ、これも、貴重な歴史の1ページということで。

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