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みんなの感想・レビュー・書評
(57レビュー)カズオ・イシグロを読むのは初めて.この本は初の本格的短編集らしい.どの話も少し現実離れした設定の中で,とまどったような宙ぶらりんの感情が描かれている.ヴェネチアを舞台にした最初と最後におかれた「老歌手」「チェリスト」が印象に残った.「降っても晴れても」は全編落ち着かない感じが私を不安にした.それは作家の力かもしれない.いつか長編も読んでみたい.
この「夜想曲集」はヨーロッパの国々が背景にあり、お洒落な雰囲気を感じながらも、どこか…心の中で寂しい人間模様を描いている。
読んでいると惹き付けられる。そして最後は結末の善し悪しに関わらずしっとりとした余韻が残る。
言葉のボキャブラリーが少ない私にはそれしか言えない。それが悔しい。
この「夜想曲集」は5つの短編が入っていて共通するのは「音楽」を軸にした大人の人間模様を描いている。
この短編の中の1つ「夜想曲」で気になる台詞があった。
「人生って、誰か一人を愛することよりずっと大きいんだと思う。」
当然な理屈だと思うけれど、愛に悩む人にはそれさえが見えない。
しっとりした気持ちにさせてくれる素敵な短編集を読ませて頂きました。
国籍などを超えて、言葉が通じなくても音楽という共通語で通じ合えるという点で音楽に携わる人たちを羨ましく思っているのですが、この作品にはその共通語を持ち、邂逅がありながらも繋がりあえない人々が出てきます。そのせいか読み終わってしみじみと哀しみが残りました。
2編はカズオ・イシグロの作品とは思えないようなコントみたいなやりとりもあって、私は「メグ・ライアンのチェス」のくだりで吹き出しました。思わず突っこみたくなります。
5つの物語の中で「モールバンヒルズ」が、すとーんと心に降りてきて収まった感じ。登場する、音楽家夫婦の過ごしてきた日々を妻の言葉で語られる場面で息子の事にふれている部分など、こちらの気持ちも痛くなり、音楽家志望の青年と姉夫婦のやり取りはとてもリアルでその場の空気までが感じられた。他の4編は好きではない。
初の短編集、前作の「私を離さないで」など長編では著作毎に綿密に構成されたその物語世界があり、そこを堪能することが読者である我々のなせることです。ところがこの短編集では著者の人となりが垣間見えるように思えます。 第二遍「降っても晴れても」から引用します。 --- 僕らの世代は違った。好みにあまりばらつきがなく、学生は大きく二つに分類できた。引きずるような衣に長髪のヒッピータイプはプログ... 続きを読む »
久々の純文学にホッとした気分。イシグロには今どきのライトノベルにはない文学的な品性がある。各短編にオチがないように思うのは、チェーホフ的な人生の一瞬を切り取ってみせたような書き方だから。イシグロは好きな作家で、この作品も評価はしているのだが、短編としては、私はモームやモーパッサン的なドラマ性やオチがあるほうが好きなので、個人的にはちょっと物足りない。
イシグロ初の短編集。現時点での最新作。
短編集ということで、評価が難しい。短編集としては面白いけども、長編作品の方が魅力がある気がしている。もちろん、いずれの短編もキラリと光っており、独特の世界観を放ってはいるのだけども。甲乙つけ難く、「これだ!」と言い切るのが難しい。『老歌手』『夜想曲』『チェリスト』は、「好きだなあ・・・」とは言える。
なんとなく自分の中で、無粋だけども順位づけをしてみる。
1位 日の名残り
2位 わたしを離さないで
3位 私たちが孤児だったころ
4位 遠い山なみの光
別枠として、この短編集かな。
残りの2作、『充たされざる者』『浮世の画家』が、どこに食い込んでくるのか楽しみ。
すばらしくおもしろい短編集だった。
ひとすじなわではいかない、
ハッピーエンドでもなく。
かといって、よく海外の短編にあるような
わたしの頭では理解のできない
意味不明の投げ出し方でもなく。
バランスの良さが、とても好みでした。
翻訳なのに違和感がなくすいすい読めた。
途中、シュールすぎて笑ってしまうシーンもちらほら…
「メグ・ライアンのチェスセットって何だ。駒が全部メグなのか」
笑ったwww
秋にぴったりの本。そしてとても好きな作家。旅行先、特にベネチアで読んだらとってもすてき。不思議な音楽やぼやっとしたアートが好きなら余韻をたっぷり味わえるかな。去年の今頃読んだから急に思い出しちゃった。
著者のカズオ・イシグロは、本書全体を第五楽章からなる1曲、もしくは五つの歌を収めた一つのアルバムにたとえ、「ぜひ5篇を一つのものとして味わってほしい。」と語っています。
記憶に残る人生のひとときを、素敵な音楽を聴くように味わえる短編小説集です。
希望を感じさせる余韻が、秋の夜長に合うのではないでしょうか。。。
かなり前に買ったまま積んでました。帯かあらすじかに「連作短編集」ってなってましたが、それほど強いつながりを持った作品ではなかった気が。音楽やミュージシャンを中心とした5つの物語。ちょっとずつ不思議なテイストで、余韻が残る物語でした。短編、というにはひとつずつがちょっと長かったかな。
親愛なる友人Mからいただいた。ありがとう。
僕は咄嗟に、たまたまそのとき持ち合わせていたまだ真新しいモレスキンのノートを彼にあげた。値段的につり合わないと恐縮したが、せめてもの。
ちなみにその夜、赤坂の韓国風焼肉店で、僕はぶっ壊れた。人からプレゼントという名目で本をもらったのはそれが初めてのことだったから、おそらく嬉しくなって気が緩んだのだろう、悪酒に理性をさらわれてしまう。
カズオ・イシグロの最新刊。イシグロファンならば、訳者が土屋政雄であるだけで嬉しくなるはず。そして、もちろん今回も面白い。音楽をめぐる五つの物語。喪失感、といったものがイシグロのモチーフになっているのは誰でもわかっていると思うのだけれど、中でも「降っても晴れても」と「夜想曲」のスラップスティック風味が素晴らしい。この人、実は面白い話もイケルのですね。けど、一番好きなのは「モールバンヒルズ」。読んだあと、緑の山の風景を思い描く。
演奏者が主役もしくは語り部となる男女のほろ苦いエピソード5編。書き下ろしだそうで、統一感のある連作集となっている。翻訳とは思えない読み易さは、翻訳の力か、翻訳を意識しているという著者のお陰か。
一気に読み終えることができた。著者の文章がすばらしいのか、訳がいいのか。たぶん両方だろう。「訳者あとがき」によれば、著者は執筆するときに「どう翻訳されるかが気になってしかたがない」という。万人に訴えかけるテーマで作品を書いているから、日本人のぼくが読んでも、すんなりと話に入っていけるかもしれない。
土屋政雄さんの訳がいいのは、誰もが認めるところだろう。今回は息子さんに下訳を頼んだそうだが、それでも訳者の存在を感じさせない見事な仕上がりになっていると思う。印象に残ったのは「夜想曲」と「チェリスト」。
音楽と夕暮れをテーマに、中年男女の微妙なすれ違いの日常風景を描いた短編集でした。
互いに情があるのに修復できない関係は、優しくもあり悲しくもあり。それを第三者の目線で描いています。離別する当事者目線じゃないのが逆に感情移入できました。間に挟まれ右往左往したり、クスッと笑える話もあり。
![第3回 ブクログ大賞[2012]](/ad/1201/award_booklog200_65.gif)

