夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

  • 早川書房
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本棚登録 : 805
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090393

感想・レビュー・書評

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  • 久々の純文学にホッとした気分。イシグロには今どきのライトノベルにはない文学的な品性がある。各短編にオチがないように思うのは、チェーホフ的な人生の一瞬を切り取ってみせたような書き方だから。イシグロは好きな作家で、この作品も評価はしているのだが、短編としては、私はモームやモーパッサン的なドラマ性やオチがあるほうが好きなので、個人的にはちょっと物足りない。

  • すばらしくおもしろい短編集だった。

    ひとすじなわではいかない、
    ハッピーエンドでもなく。
    かといって、よく海外の短編にあるような
    わたしの頭では理解のできない
    意味不明の投げ出し方でもなく。

    バランスの良さが、とても好みでした。

  • 翻訳なのに違和感がなくすいすい読めた。
    途中、シュールすぎて笑ってしまうシーンもちらほら…

    「メグ・ライアンのチェスセットって何だ。駒が全部メグなのか」
    笑ったwww

  • それぞれのある数日を切り取ったような、
    それでいて夢の話でもあるような不思議な魅力に
    あふれた本。
    「日の名残り」の原作者。

  • 人生って、誰か1人を愛することよりずっと大きいんだと思う。あなたはその人生に出ていくべき人よ、スティーブ

  • 2022年7月5日読了

  • 「老歌手」のなかで、語り手が老歌手の歌を次のように評した部分に、筆者の表現の精緻さを感じた。

    「歌声にはじれったさがこもり、こんな風に心の内をさらけ出すことには慣れていないというためらいの気配さえあった。優れたアメリカ人歌手は皆そうだ。偉大な歌手は皆そうやって歌う。」

    歌手を評すときにはただ「歌唱力」と表すのではなく、このような美しい表現をしたいものだ。芸術を「〜力」と表すのは退屈である。

  • 5つの短編を一気に読んでしまうのはもったいないが、あまり間を空けてしまってもよくない。どの作品もそれぞれにいい。そして5つの作品で1つのまとまりを構成していることもしみじみわかる。ゆっくり、しかし焦らずに、落ち着いた気分の時に味わいたい。

  • 予想外のユーモア、カップル(夫婦)のすれ違う物悲しさ(まさに夕暮れという時間がしっくり来る)が、入り混じった、大人の小説。カズオ・イシグロさんってこんなお話書かれる方なのですか!是非他も読んでみたい、と思いました。
    5つの短篇のうち、「降っても晴れても」には大いに笑わせられた。「夜想曲」も面白かったし、最後の「チェリスト」は、不思議な余韻が残る。Barでお酒飲みながら読みたい一冊。

  • 音楽と夕暮れを背景に、様々な男女の物語が描かれている短編集。優しい印象のタイトルとは裏腹に
    、作中の男女関係もいずれも現実的でかなりほろ苦め。

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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