月の満ち欠け

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 477
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000014083

感想・レビュー・書評

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  • 生まれ変わりの話。

    関係者それぞれの視点から、不可思議な現象が語られる構成となっており、読後時には時系列で起きたことがほぼはっきりする流れ。

    起きる出来事自体は、様々なフィクション作品で取り上げられそうなものなので、よく言えば馴染みのある、悪く言えば手垢にまみれてそうな設定。

    素直に感動もしきれない出来事なので、どういった気持ちで読めば良いのか最後までよくわからなかった。

    ビデオ屋あたりで繰り広げられた、「話し手の語る内容が要領を得なくて、聞き手が追い付くのに苦心する」会話の描写が現実にありそうな会話で、上手いなぁと感じた。

  • 上司に薦めてもらった本。
    メモを取りつつ、時系列を整理しつつでないと読めない。どこが重要なのかがわからないから、よく前に戻る。
    混み混みしていたが、面白かった。
    しかし、私にはほんの数ヶ月不倫していた相手に会うために、何度も生まれ変わるというのがあまり理解できない。
    そして、それ以前がなかったというのも納得いかない。
    三角の人格が後半あまり出てこなかったのももったいない。
    人体が生まれ変わったというよりは、精神をのっとったという感じなのか。
    多重人格の逆のような感じ。ひとつの人格が時を重ねず多数の人体に宿る。

  • (2024/02/16 3h)

  • かつて愛した人と再び巡り会うために、他人の命としてまた生まれる。そんなことがありうるのか。
    ただ、主人公・小山内の前には確かに娘の生まれ変わりとしか思えない少女が現れるのだった。

    ただひたすらに肌に合わなかった。瑠璃の想いを純愛とはわたしには思えなくて。
    そんなにも深く愛していたならば何故離婚してから関係を深めなかったのか。
    とんでもなく年の差がついても、彼の今の人生を思わずに何度でも彼に会いに行くのは何故なのか。
    愛はエゴである1面はあると思うけど、エゴが強すぎて心には響かなかった。
    愛する彼が死んだ時、瑠璃の転生も終わるのかな。そのとき瑠璃は幸せなんだろうか。

  • 凄く面白かったです。

    映画化されているのですね。
    https://movies.shochiku.co.jp/tsuki-michikake/
    登場人物を見ると、原作より割愛されている。
    目黒蓮が出演してるか…ヒットするね。
    今、見ようとすると上映してるのが、名古屋か福岡店…無理だ。


    直木賞受賞作を読んでいる一環で、図書館にリクエストしました。表紙からは、あまり面白そうには見えず…少しリクエストが入っていた本なので、読んでしまおうと読みました。

    読み始めてすぐに、ん???
    不思議な話が始まった。
    どういうこと???と言う疑問を読み解くために、読みすすめる…。
    どんどん新たな事実が繰り広げられていく。
    物語に引き込まれていきました。
    一気に読み進めましたが、眠くなって…結末は朝に。


    夫に、途中で内容を話すと…
    「ブラッシュアップライフだね」と。
    https://www.ntv.co.jp/brushup-life/
    そうね。生き返って、また別の人生を歩む。
    ブラッシュアップライフはコメディタッチでしたが、この本は奇怪な感じがします。そして、切ない。



    瑠璃は、結局、4回、転生を繰り返し、最後に想いを遂げる。
    そして、小山内の妻、梢も…。
    最後に、少し救われる感じがしました。

    「前世を記憶する子どもたち」を読んでみたくなりました。

  • あっという間に読み終えた。ただ、細か過ぎる表現と生まれ変わりの多さ、時系列に少し戸惑った。
    映画を観てみたいと思った。

  • 直木賞で最近映像化された作品ですが・・・
    この人も難読漢字を使いたがるタイプ、しかもフリガナは打たない主義らしい
    読む方からすれば、いやな人です

    序盤は興味を引かれたのですが、中盤あたりで止めようか悩むくらい私には合わない本でした
    こういうタイプの話なら、もっと上手に描いたものがあるし、結局何が一番言いたかったのか分かりませんでした

    人への執着はあるのに、生への執着は感じられないというチグハグ感
    「前世を記憶する子どもたち」は読んだことがないけれど、「繰り返しの子」なんて存在して欲しくない・・・

  • 転生を軸にした恋愛(?)もの。「お話」としては上手に書けていて読みやすく、さらっと読み切れる感じなのだが、読後感は重い。中心にいる瑠璃の粘着はもちろんだが、登場人物全ての感情が重いのである。湿度が高いのか、粘度が高いのか、とにかくねっとりしている。転生してでも愛を貫きたいという話なんだろうけど、この「愛」は執着という言葉で表すほうがしっくりくる感じで、仏教用語における「愛」を思い出させた。執着が強くて成仏できないから転生しているんですね、辻褄が合います。
    読んでいて一番引っかかったのは、二代目と三代目の「瑠璃」が三角に会おうとして二度とも会える直前で交通事故死していることである。一度なら偶然だが、フィクションの世界で二回同じシチュエーションを使ったらそれは必然の色を帯びる。まるで、転生しても転生しても、「瑠璃」は三角には会えない、会えそうになると邪魔が入るという呪いがかかっているかのような印象を与えるのである。その呪いを振り切って四代目の「瑠璃」が三角に会うために何か駆け引きをした結果が小山内の身に起こっている異変なのではないかという裏があるように考えすぎの私には読めてしまった。こうなってくると瑠璃は「リング」の貞子なみのホラーキャラである。三角くん、逃げて!
    もちろん上記は本編とは関係ない勝手な妄想だとわかっているのだが、こんな妄想を並行して走らせつつ読み進めて迎えた最終盤、四代目瑠璃の単純な冒険活劇でアキヒコくんと無事再開できた顛末は期待よりもシンプル過ぎて正直拍子抜けだったのでした。勝手な読み方で失礼。

  • 冒頭しばらくは頭で理解するが受け入れられない内容、ようやくタイトルの意味がわかり、でも途中から時系列にイベントと名前を並べて把握したいと思い、話に出てきた映画と本が気になり、再び冒頭、そしてラストへ。
    展開と頭の整理を繰り返しが続き、時間かかったけどようやく飲み込めた感。
    15冊目読了。

  • 佐藤正午さん、初めて読みましたがとてもよかったです。とても読みやすくサクサク読めました。
    月の満ち欠けのように生まれ変わる。。美しい表現ですね。。一途というよりちょっと怖いくらいの執着心ですが。。登場人物一人一人の感情がよく分かってとても楽しく読ませて頂きました。

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著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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