孤独な散歩者の夢想

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  • Amazon.co.jp ・本 (201ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000070126

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  • 「孤独な散歩者の夢想」ルソー著・今野一雄訳、ワイド版岩波文庫、1991.01.24
    201p ¥800 C0233 (2020.10.20読了)(2020.10.14借入)
    「毒書案内」石井洋二郎著、飛鳥新社、2005年12月6日発売
    で紹介されている本です。いけない本といわれるとちょっと読んでみたくなるので、図書館で借りてきて読みました。
    ルソーは、モンテーニュより200年ほど後の生まれ、ヴォルテールやディドロと同時代の人です。フランス革命は、1789年に始まりますので、その10年ほど前に亡くなっています。もうちょっとでしたね。亡くなった時の年齢は、66歳ぐらいです。
    ルソーは、フランス生まれではなく、スイス生まれなんですね。今も昔もヨーロッパは一つのものと考えたほうが理解しやすいのかもしれません。
    1762年に「エミール」を出版し、パリの高等法院で禁書にされ、逮捕令が出されています。ルソーはスイスに逃れますが、ジュネーヴの国会でも「エミール」は禁書になっています。
    禁書となると、読んでみたくなるのが人情ですので、いずれ読んでみましょう。Eテレの「100分de名著」でも紹介されていますので、なおさらですね。
    1770年、ルソーは、自伝「告白」を完成し、朗読会を開いています。
    「自我の探求は近代文学の重要な課題のひとつであるが、モンテーニュの自己省察をさらに深めて、新しい探求の道を開いたルソーの自伝的著作の意義は大きく、「告白」は世界文学の記念碑的作品のひとつとなっている。「夢想」は、著者自ら語っているように、そのつづき、付録とみなされるが、嵐のあとを思わせるような精神的状況に置いて書かれた、いっそう内面的な作品として、本文とは別個の興味を持つ美しい付録ともいえよう。」(4頁)
    『孤独な散歩者の夢想』は、ルソーの遺稿をもとに出版されています。七までは、完成していたようですが、八以降は、下書きの状態だったということです。

    ルソー【Jean-Jacques Rousseau】
    [1712~1778]フランスの啓蒙思想家・小説家。スイス生まれ。「学問芸術論」で人為的文明社会を批判して自然にかえれと主張、「エミール」では知性偏重の教育を批判した。また、「社会契約論」では人民主権論を展開し、フランス革命に大きな影響を与えた。著書はほかに「人間不平等起源論」「告白録」など。(「デジタル大辞林」より)

    モンテーニュ【Michel Eyquem de Montaigne】
    [1533~1592]フランスの思想家。豊富な知識と深い人間性省察に基づく主著「随想録」は、モラリスト文学の先駆として後世に大きな影響を与えた。(「デジタル大辞林」より)

    ボルテール【Voltaire】
    [1694~1778]フランスの小説家・啓蒙思想家。本名、フランソワ=マリ=アルーエ(François-Marie Arouet)。百科全書派の一人で、理性と自由を掲げて専制政治と教会を批判、狂信や不正裁判と激しく闘った。著「哲学書簡」、論文集「哲学辞典」、小説「カンディード」など。(「デジタル大辞林」より)

    ディドロ【Denis Diderot】
    [1713~1784]フランスの啓蒙思想家・作家。ダランベールとともに「百科全書」を編集・刊行。機械論的唯物論の立場に立ち、広い分野にわたって著作を行った。哲学的著作「自然解釈断想」、小説「ラモーの甥」、戯曲「私生児」など。(「デジタル大辞林」より)

    【目次】
    はしがき
    孤独な散歩者の夢想
    第一の散歩 (ひとりになってしまった)
    第二の散歩 (孤独な散歩とその間の夢想)
    第三の散歩 (私は絶えず学びつつ年老いていく)
    第四の散歩 (プルタルコスはいちばんわたしを惹きつけ、ためになる本である。)
    第五の散歩 (サン・ピエール島)
    第六の散歩 (行動の原因)
    第七の散歩 (植物学の研究)
    八 (運命)
    九 (幸福)
    十 (ヴァラン夫人)
    付録 晩年のルソー  ベルナルダン・サン・ピエール
    略注
    略年表

    ●老人の勉強(36頁)
    老人の勉強は、老人にもまだ勉強することがあるとすれば、ただ一つ、死ぬことを学ぶにある。
    ●学問(37頁)
    彼らが人間性を研究するのはそれについて学者らしい話をするためで、自分を知るためではない。彼らが勉強するのは他人に教えるためで、自分の内部を明らかにするためではない。
    私が学問をしたいと思ったのは、自分で知るためであって、人に教えるためにではなかった。
    ●プルタルコス(55頁)
    プルタルコスはいちばんわたしを惹きつけ、ためになる本である。
    (モンテーニュもプルタルコスが好きでした)
    ●植物誌(82頁)
    私は「ピエール島植物誌」を書いて、この島のあらゆる植物を、その一本余さずに、余生をすっかりそれにささげられるくらいに詳細に記述しようと企てた。

    ☆関連図書(既読)
    「社会契約論」ルソー著・桑原武夫訳、岩波文庫、1954.12.25
    「ルソー『エミール』」西研著、NHK出版、2016.06.01
    (2020年10月27日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    『告白』につづいて書かれた本書は、その自己探究の道をさらに進めたものである。晩年全くの孤独に閉ざされたルソーは、日々の散歩の途上に浮かび上がる想念を、つれづれの印象を、事件を、あるいは生涯のさまざまの思い出を記し、人間と自己を見つめ続けた。偉大な思索家ルソーの諸著の中でも、特に深い感銘を与えるものであろう。

  • 全部が読めなくても、短い一文に心をうたれます。

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