- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000089241
作品紹介・あらすじ
本書では、その作品と残された文献資料から、この芸術家の人間性について何が導きだされうるかが探求されるであろう。ここではとくに、ゴヤの芸術を彼の生きた時代のスペインという文脈のなかに位置づけ、政治的、経済的、社会的問題がどの程度までゴヤの物の見方を浸食したのか、あるいは先鋭にしたのかを、考察する。
感想・レビュー・書評
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ゴヤの絵やキャリアについてひたすら網羅した本。なので、わが子を喰らうサトゥルゥヌス系の原初的な怖さを感じる絵が結構あって、満足した。
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ゴヤの全キャリアを、経年的に、史実に照らして通観する。
ゴヤくらいだと、史料もかなり豊富に残っているのに、それでも「伝説」が生まれてしまう。
作品の印象で、反骨で狷介孤高な画家だったような気がしてしまうが、野心家で、宮廷画家として王室や有力者とうまくやってた、しぶとくも複雑な人だったのね。
カルロス4世国王夫妻とか、私らが見てイケてない肖像も、満足して受け取ったらしい(べつに、鈍感すぎて、美麗に描かれてないことに気付かなかったワケじゃないと思う)。あの頃の上つ方は、そんなに自分を見た目よく残したいとか思ってなかったのね(そんなこと気にしないで生きてられる立場なワケだし)。
有名なカルロス4世一家の集団肖像画だって、“ゴヤによる辛辣な批判で、国王達の暗愚さを表している”のだと思うのは、はっきしいって、王室の面々(特に国王夫妻)の容姿がパッとしないってだけの理由によっているワケで、自分らの、外見による偏見を逆にえぐり出される気がして、はっとしました(爆。
図版がオールカラーなのもよい。