アリストテレスの政治思想

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000220613

感想・レビュー・書評

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  • アナクロニズムに満ちた著者の手腕で、アリストテレスの記述を取捨選択、強引に整理している、という印象を抱いた。

    著者によると、アリストテレスは「多くの人々の合意」に倫理や政治の根幹を見い出し、今日の民主主義や人権を擁護する議論の原型を提供したとのこと。

    たとえば、奴隷制を容認するアリストテレスの議論ですら、著者のこの見解に強く反することはない。
    なぜなら、倫理的に自律した理性的人間像がアリストテレスにはあり、こちらがアリストテレスにとっては根本的であったと著者は解釈するからだ。

    著者のクセが強すぎて、アリストテレスについての理解を深めるという目的には向いていない本だと思う。

  • 『政治学』、『ニコマコス倫理学』から政治思想を分析する。「人はいかに生きるべきか」(倫理原則)という問いから「人はいかなる共同体を作るべきか」(政治原則)への問いに展開する。人間は本質的に理性的存在者であり「人間は数的に平等」。人間の尊厳・人権を制度的に保証するのがデモクラシー(支配者と被支配者が絶えず交代する構造)又は「中間の国制」。「多くの人の合意」が思想の基礎なので国内の内紛、武力による秩序維持が必要最小限になる。「市民はポリス全体に属する」ので公教育は必須となる。倫理と政治原則は同一となる。

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