女性と人間開発 潜在能力アプローチ

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (472ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000234153

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  •  第三世界の女性「開発」のために現在最も主流とされている(たぶん)、潜在能力アプローチ、について書かれた本。潜在能力(ケイパビリティ)アプローチについて学ぶためには、まず最初に読むべき本である。第三世界の貧しい女性達を開発していくために、彼女らの所得や効用(主観的な幸福度)ではなく、彼女は「何ができるか」「どんな状態になれるか」という、潜在性を、アプローチの評価変数として取り入れる方法である。著者は哲学が専門らしく、政治哲学的な内容となっている。もちろん、根源的に何が基準とされるかというと、評価者(西欧先進国)の「直観の定点」ではある。が、本書のあげるケイパビリティのリストは、より広範囲に人々を繋げる規範としては、普遍的に妥当とするに値するように思われる。「伝統」や「西欧の押しつけ」などの批判に対する反駁や、「宗教」「家族」との衝突についても書かれていて、非常によくできた書物である。原著2000年、翻訳2005年。新しい本である。2008.5.22-26(5d).

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著者プロフィール

(Martha C. Nussbaum)
1947年生まれ。ハーヴァード大学博士(Ph. D)。ハーヴァード大学、ブラウン大学を経て、現在、シカゴ大学教授(Ernst Freund Distinguished Service Professor of Law and Ethics)。1986年から世界開発経済研究所(WIDER)のリサーチアドヴァイザー。2004年に発足した「人間開発と可能力アプローチ学会」(Human Development and Capability Association)の第二代会長(2006-2008年)。
主な著書に、The Fragility of Goodness: Luck and Ethics in Greek Tragedy and Philosophy(Cambridge: Cambridge University Press, 1986),Love’s Knowledge: Essays on Philosophy and Literature(Oxford: OxfordUniversity Press, 1990),The Therapy of Desire: Theory and Practice inHellenistic Ethics(Princeton, NJ: Princeton University Press, 1994),Upheavals of Thought: The Intelligence of Emotions(Cambridge: CambridgeUniversity Press, 2001),Philosophical Interventions: Reviews 1986-2011(Oxford: Oxford University Press, 2012)、ほか多数。

「2012年 『正義のフロンティア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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