- Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
- / ISBN・EAN: 9784000271035
感想・レビュー・書評
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言葉や文章が好きと言いつつも詩に興味を持つことはこれまでほとんどなかった。荒川洋治さんのエッセイが大好きだけど、詩を読んだことはなかった。どうしてか、馴染みある日本語が「詩」となると身構えてしまう。そんな詩との距離感を押し付けがましくなく解きほぐしてくれる、そんな一冊だった。
荒川洋治さんお馴染みの相田みつをを持ち上げる世間への鋭い辛口がここにも出てきて親しみが湧く。
筆者は異なる本のなかで何度も、簡単な言葉へと流れてゆくことや文学が軽視されることへの危機感を書いている。その言葉を読む度に、冷たい現実を突きつけられるようで立ち止まる。果たして世の中はより良くなっているのだろうか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
P.90-91
詩は、基本的に次の用なかたちをしている。
A こんなことがある
B そして、こんなこともある
C あんなこともある!
D そんな ことなのか
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と、いうのには笑ってしまった……。わかる。とてもよくわかる。
P.165 (松山巖「建築は ほほえむ-目地 継ぎ目 小さき場-」からの引用)
もう一度、
あなたが好きだな、
気持ちがよいと感じる場所について考えてみよう。
その場所はいろいろな要素が「ある」のではなく、「ない」のではないだろうか。
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これにはすっきりとした。
全体的にかんたんな読み物として書かれている印象があり、逆に読むのに時間がかかってしまった。随所に気になる引用があり勉強になる。詩人を時代としてとらえる目を持ちたかったわたしにはよい入門書となったような気がする。 -
#ざっくりすぎる現代詩の構造抽出に大笑い。「こんなことがある(起)/そして、こんなこともある(承)/あんなこともある!(転)/そんな ことなのか(結)」 あと荒川さんの朗読ぎらいの理由が、やっとわかりました。
#ほか覚え書き。/詩は行分け。行分けには作者の呼吸が出るので、他の人はその呼吸に合わせづらい/でも詩には、その順序で知覚した人が一人はいる(散文にはいなくてもよい)/詩人の年譜のそっけなさ/作者の側に立って詩を読んでみるのも(石原吉郎との架空問答)/読まれないことは、わかっている。そのうえで、考える。
(2009/06/11) -
読めないものとしての詩。
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北原白秋の萩原朔太郎へ捧げた文(萩原朔太郎の詩集に寄せた文なのに、やたらと室生犀星とセットにされている)に吹き出した、けど、以前他の本で読んだかな……?ちょっと全体を通して散漫な印象がある本だけど、荒川洋治さんのユーモアが楽しい。「詩は誰も読まない、というが逆に読まれたらおしまいじゃないか」等々。
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『詩とことば』荒川洋治、読了。
詩を読む人は少ない。私もあまり読まない。
でも、一篇の詩に励まされることや支えられることが、時にある。宝物のような言葉に出会うことが、たまにある。 -
荒川洋治による随筆。詩の入門に。
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著書の市に対するまっすぐな思いが語りかける息遣いが伝わってくる
詩人でありながら詩の世界に閉じこもらない -
荒川さんの視点はとても面白い。
詩をよんだことのない人のことを、読み手のことを
ちゃんと考えていらっしゃる。 -
ふだん読まない詩の世界を外側から説明してくれる本だと思いました。詩を書くとは、読むとはどういうことなのか。なぜ偉人式の詩や「詩的」な語りはつまらんのか、などなど考えるべき問題がいっぱい出されておりますね。