せめぎあう地域と軍隊――「末端」「周縁」軍都・高田の模索 (シリーズ 戦争の経験を問う)

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  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000283793

作品紹介・あらすじ

一九二五年の第一三師団廃止の後、連隊区司令部以下が所在する「末端」「周縁」軍都となった新潟県高田市(現上越市)。満洲事変、盧溝橋事件を経て、一九四一年の対米英開戦に向けて社会における軍事の比重が次第に増してゆく中、軍からの自立と、軍による振興との間で揺れ動き続けた高田の模索を通じて、日本の軍都の特質を描き出す。

感想・レビュー・書評

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  • 地域社会は軍部や軍隊に振り回されたのではなく、むしろ軍隊の駐屯によって地域経済を活性化させるという目論見をもつ、自立的な存在だった。ただし軍都は、戦争が起きていない=兵士がそこにいることによって活性化し、彼らが出征してしまえば停滞するという矛盾を抱えていた軍都としての空間性は、戦時に顕在化したというよりは、むしろ「滞留・連続する日常性」によって出来上がっていった。

    軍隊は社会的階層や関係性を平準化しようとする場所だが、それが軍隊階層とあいまって、地域社会ではさまざまな緊張を生み出したことを、在郷軍人会や将校団の活動から見出すことができる。

  • [ 内容 ]
    一九二五年の第一三師団廃止の後、連隊区司令部以下が所在する「末端」「周縁」軍都となった新潟県高田市(現上越市)。
    満洲事変、盧溝橋事件を経て、一九四一年の対米英開戦に向けて社会における軍事の比重が次第に増してゆく中、軍からの自立と、軍による振興との間で揺れ動き続けた高田の模索を通じて、日本の軍都の特質を描き出す。

    [ 目次 ]
    序章 兵士のいる風景(軍事史と地域史―一九九〇年代以降の研究動向;「軍都」論 ほか)
    第1章 「軍都」の意識論(都市建設への模索―師団廃止から満洲事変へ;大都市建設の夢―満洲事変から日中戦争へ ほか)
    第2章 子どもたちと軍隊(高田中学校『第一義』を読む;直江津農商学校『校友会報』を読む ほか)
    第3章 地域と軍隊をむすぶ人々(帝国在郷軍人会と陸軍将校団;在郷軍人会と地元部隊 ほか)
    第4章 戦時のアトモスフィア(神社境内の変容;軍事と日常 ほか)
    終章 市民のいる風景

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 近代軍都空間の研究本

    個人的には金沢・相模原に次いで、第三番目の地の軍都研究の参考書

  • 2010.03.21 日本経済新聞で紹介されました。

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著者プロフィール

1953年生まれ。広島大学名誉教授

「2021年 『東北史論 過去は未来に還元する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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