日日是日本語: 日本語学者の日本語日記

著者 :
  • 岩波書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784000613347

作品紹介・あらすじ

日本最大級の辞書を全巻読破しても満足せず、今日も古書店の出品リストを嬉々として眺めて本を集め、新聞を読んでもテレビを観ても日本語のことがひたすら気になる──。改めて「言葉」を考えるヒントが満載。日々「浅く、単純に、粗く」なってゆく日本語の使われ方を憂いつつ綴られた、日本語博士の日記。

感想・レビュー・書評

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  • 浅草七福神巡り 研究には書籍購入費がかかるな。

  • 日本語研究者の日記。「書く」ことは「丁寧に考える」こと。

  • 三浦しをんがいちいち細かくて笑えると書いていたように最初は面白かったんだけど、最後の方は飽きてきた。

  • 迂闊だった。『日日是好日』が心に響く一冊で、タイトルに惹かれて読んだが、馴染めぬ「学者の日記」とは。表紙にそう謳ってあるし。日記といっても、自らを「筆者」と表しているから、読まれることが前提だ。日本語の歩みを知るのは大切たし、研究も必要だけれど、こうした内容は新書で発刊願いたい。目線には視線、立ち位置には立場と言う語があるから使わないって、そりゃまあ自由なんだけど。あとがきにあるように、「書く」ことはインプットでもある。是同感。伝えるというアウトプットと同時に、自分の心情や記憶を整理するために有用だ。

  • 日本語学者って…細かいなぁ
    一般人なら気にも留めない新聞や雑誌の見出し、出版物での表現について。
    そして当たり前だけど日々の読書量、古書等の購入頻度に驚く。学者だから当然なのだけど。
    日記の内容は、言葉に関することだけでなく、日々の出来事や感想もあった。とても忙しそうなのに、流れる空気感が淡々としている大学教授の毎日。
    あとがきにある通り、日記は体力確認の階段のようなもの。コツコツ続けることによって、まず文章を書く訓練になり、さらに日記を書くという作業自体が、少し考えてみたり、振り返ってみたり、そこから別のことに発展できたりする道具になるらしい。私も久しぶりに書いてみようか。

  •  安直な言葉の乱れや、美しさ云々ではなく、言葉を使う態度の緩みについての厳しい態度が感じられる。
     だから、むしろ、日本語のこと以上に、生き方について考えるための本。

  • 「月刊今野」と称されるほど、つぎつぎと本を出している今野さんの新刊。「日本語日記」だから立ち読みできるかと思ったが、やっぱり気になって購入。毎日の読書、目にふれる日本語の感想、古書目録、本の購入の備忘録だが、いろいろ勉強になった。今野さんの多くの著書のアイディアがどこから来ているかがよくわかった。なにしろ『日本国語大辞典』を二度?も読んだという今野さんだから、日本語に対する疑問も現代だけでなく古典にまで及ぶ。つねに、これは『日国』にあったか確認することを忘れない。現代では「まぬかれる」ではなく「まぬがれる」ではないかは、ぼく自身『中国語を歩くパート3』で“免排”をあつかったとき「まぬかれる」を使ったので、それ以来「まぬかれる」に違和感はない。「御用聞き」に注がいるとか、今は「貸し切り」というところを「借り切り」といっているのも面白い。これも「荷物あずけ」か「荷物あずかり」かで考えたことがあるが、立場の違いということではつながっている。ただ、「可視化」があるのに「見える化」は要るかとか、「立場」があるのに「立ち位置」は必要かはあまり賛成できない。ぼくには「見える化」の方がずっとわかりやすい。(「既視感」というのも今一わかりにくい。)だれかもっとわかりやすい和語を考えてほしいものだ。今野さんはよく本を買う。そして、それを自分の著書で使う。「英和・和英辞書」の本は近く出るのだろう。『「広辞苑」』についての本もすでに岩波と話がついているようだ。古書は一時的な預かりものと言っているが、最後は古書店に売るのだろうか。ぼくも昔はそう思っていたが、最近は、長く大学に世話になったし、分散させるのも惜しいので大学へあげようかという気になっている。こうなると、古書は世間に回らなくなる。今野さんは自分で買う本と大学で買ってもらう本をうまく買い分けている。これも大事なことだろう。よく出てくるのが『英和対訳袖珍辞書』(1862)で、高知大につとめ、なんどか機会があったのに存在に気がつかなかったという後悔は、よほどのことだったのだろう。複製があるのに本物を学生に見せたいというのもよくわかる。ぼくはヘボンの辞書は初版から第三版までもっているし、初版のきれいな複製本ももっているが、いつも本物を引く。書名は樹木希林や黒木華が出た『日日是好日』から取ったようだ。この「日日」も「ひび」ではなく「にちにち」と読むのが本来の読み方らしい。ぼくはこの映画をポルトガルへ行くルフトハンザの中で見た。ちょっとたるい映画だった。P43の「待賈」を「たいか」と読んでいるが、これは「たいこ」ではないだろうか。「賈」にはコとカの二つの音があることはあり、コは(店を構えた)商人とか「買う、売る」、カと読むときは「値段」の意味である。ぼくには「良賈リョウコは深く蔵して虚しきがごとし」ということばが浮かぶ。

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著者プロフィール

1958年、鎌倉市に生まれる。早稲田大学大学院博士課程後期退学、高知大学助教授を経て、清泉女子大学文学部教授。専攻は日本語学。
著書に、『仮名表記論攷』(清文堂出版、2001年、第三十回金田一京助博士記念賞受賞)、『文献から読み解く日本語の歴史』(笠間書院、2005年)、『消された漱石』(笠間書院、2008年)、『文献日本語学』(港の人、2009年)、『振仮名の歴史』(集英社新書、2009年)、『大山祇神社連歌の国語学的研究』(清文堂出版、2009年)、『日本語学講座』(清文堂出版、全10巻、2010-2015年)、『漢語辞書論攷』(港の人、2011年)、『ボール表紙本と明治の日本語』(港の人、2012年)、『百年前の日本語』(岩波新書、2012年)、『正書法のない日本語[そうだったんだ!日本語]』(岩波書店、2013年)、『漢字からみた日本語の歴史』(ちくまプリマー新書、2013年)、『常識では読めない漢字』(すばる舎、2013年)、『『言海』と明治の日本語』(港の人、2013年)、『辞書からみた日本語の歴史』(ちくまプリマー新書、2014年)、『辞書をよむ』(平凡社新書、2014年)、『かなづかいの歴史』(中公新書、2014年)、『日本語のミッシング・リンク』(新潮選書、2014年)、『日本語の近代』(ちくま新書、2014年)、『日本語の考古学』(岩波新書、2014年)、『「言海」を読む』(角川選書、2014年)、『図説日本語の歴史[ふくろうの本]』(河出書房新社、2015年)、『戦国の日本語』(河出ブックス、2015年)、『超明解!国語辞典』(文春新書、2015年)、『盗作の言語学』(集英社新書、2015年)、『常用漢字の歴史』(中公新書、2015年)、『仮名遣書論攷』(和泉書院、2016年)、『漢和辞典の謎』(光文社新書、2016年)、『リメイクの日本文学史』(平凡社新書、2016年)、『ことばあそびの歴史』(河出ブックス、2016年)、『学校では教えてくれないゆかいな日本語[14歳の世渡り術]』(河出書房新社、2016年)、『北原白秋』(岩波新書、2017年)などがある。

「2017年 『かなづかい研究の軌跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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